きもの永見 着付け教室講師の太田です。
着物を着たら、足元は?
着物の裾からのぞく白足袋は着物姿をより際立たせてくれています。
カジュアルに着物に合わせる足袋は、コーディネートやお好みにより色柄物やレース素材などの足袋でおしゃれするのも楽しいですね。
しかしながら、「足袋のサイズがしっくりこない」「足袋の選び方がわからない」など、足袋にお悩みの方が多いのも事実です。
サイズが合わない足袋を履くことで皺があれば見た目も悪いですし、痛みを堪えるようなこともよろしくありませんね。
見た目にも良く、痛いところもない履き心地の良い足袋が見つかるように足袋の選び方をみていきましょう。
着付け講師として受けた生徒さま方からのご相談や実話をもとにして【足袋】の解説もします。
目次
足袋とは
足袋とは
出典元:百科事典
足袋は和装とは切り離せないアイテムです。和装で足袋を履かない場合は、浴衣着用時の素足に下駄か和洋ミックスコーディネートの靴を履く時くらいでしょうか。
足袋の色は?
足袋の色は基本の【白】が代表的でしょう。綿の白足袋はフォーマルからカジュアルまで幅広く万能に対応できます。
フォーマル着物の時は、男性・女性(ミス・ミセス)に関わらず白足袋を履きましょう。
カジュアルには着物との相性で色物や柄物の足袋でコーディネートするのも良いです。
足袋の種類
白足袋と色柄物の足袋があることに触れましたが、カジュアルな色柄物にはレースの足袋などもあります。レース素材は色が白であってもカジュアルに分類されます。
こはぜ
足袋には【こはぜ】と呼ばれる留め金具が踵の方についています。こはぜは履き口の片方に付いており、もう一方には【掛け糸】と呼ばれる糸がこはぜと同数あり、こはぜを糸に引っ掛けるように留めます。
足袋により【4枚こはぜ】と【5枚こはぜ】があり、踵から足首までを覆う長さに違いがあります。品よく素足を見せないためにフォーマル・セミフォーマルは5枚こはぜ、普段使いやゆったりめがお好みの方は4枚こはぜを選ばれることが多いです。ただし、4枚こはぜがフォーマルシーンに不可ではありませんのでお考え次第ということになります。
こはぜの無い足袋
こはぜが付いていない足袋の種類としてよく見かけるものは
・タビックスなどのソックスタイプの足袋
・足袋カバーを足袋として履く
などがあります。どちらにしてもフォーマルには向きません。
他に、こはぜの代わりに紐が付いていて足首で結ぶ足袋を見かけました。(江戸時代、こはぜが開発されるまでの足袋のカタチです)現代でもむくみなどでこはぜが苦手な方が別誂えをして履いておられました。
素材の違いと特徴
綿 |
一般的に足袋と言えば綿です。キャラコ・ブロード・繻子などがあり、中でも『キャラコ』は高級として扱われています。フォーマルに最適です。 足袋の内側(足の甲が触れる部分)に、晒裏とネル裏があります。 ・晒裏=薄手のサラッとした履き心地 ・ネル裏=起毛させた厚手のふんわりした履き心地 |
絹 | 絹羽二重を使用した足袋です。絹特有の美しい艶もあり婚礼衣装に合わせるなどされます。 |
麻 | 夏に涼しく履けます。 |
別珍(べっちん) | 表生地に別珍(綿ビロード)を用いた冬用です。たいへん暖かく、昭和初期には洋服でも冬の定番だったと言われています。 |
ブロード | 綿ブロードもありますが、ポリエステルとの混紡のものに『ブロード』と表記されることが多いです。安価なものに多いです。 |
ナイロン | こはぜのない足袋に多く、ソックスのように伸縮性に富んでいます。 |
ストレッチ | 足袋裏にも伸縮性のある素材が使われ、幅広・甲高な足の方や、足首の太い方に安心な足袋です。 |
レース | 素材は様々で、レースのみで肌が透けるものと内布があり透けないものがあります。どちらも礼装には向きません。 |
足袋の素材の選び方
季節と用途
季節・・・綿は通年使用できます。更に『冬は暖かく・夏は涼しく』など季節に合わせ、暖かいネル裏足袋や涼しい麻足袋など体感に合わせて選びます。
用途・・・フォーマル着物のときは基本的に5枚こはぜの白足袋を選ばれるのがマストです。(関東など4枚こはぜが標準という地域もあります)
茶道など正座を伴うシーンでは、足首に負担の少ない4枚こはぜやクッション性を求めてネル裏足袋を選ばれる方もあります。
はじめて足袋を選ぶなら
サイズの選び方
足底の縦の長さは靴のサイズと同じと考えます。一般的に店頭に並んでいる足袋は試着することができません。甲高・幅広・足首が太いなどの特徴のある方はストレッチ系が安心です。
ぴったりサイズの選び方
実は、足袋のサイズには足底の長さだけではなく、足の[先周][甲周][斜周][足首周]などのサイズから、ゆったり~ほっそりまで数タイプあるんです。
お店で通常販売されているサイズは、殆どが【中】と呼ばれる普通サイズです。足底の長さだけでは、ご自分にぴったりサイズの足袋が見つからないわけですよね。
きもの永見では、『きねや足袋』さんの試着できる足袋フィッターを常備しています。
例えば、23.5cmの足袋でもゆったり~ほっそりまで6タイプあり、自分にピッタリのサイズを 試着 して見つけて頂く事ができます。
(試着用見本は21.5cm~25.0cm)
足袋選びのお悩み実例
甲高・幅広・足首が太いなどの特徴のある方は、靴を選ぶときにもお悩みがあったり吟味して選ばれることが多く普通サイズに不安をお持ちの方が多いです。足袋選びの際、靴のサイズを尋ねると「私は〇〇が大きいから…」などと気になる箇所を教えてくださることが多く、お勧めする私どもも参考になる情報をいただけます。
ここで、以外に知られていないお悩みに《足幅が細い方》があります。
足幅が細い方は標準サイズが不都合無く履けるので、特に不足を感じておられないことが多いですが、例を上げると
●足よりも足袋が大きくシワが目立っている
●履いているとつま先が痛い
などのお悩みの原因は足幅が細く薄い等の場合が多いです。
このお悩みは、足袋を試着してご自分にぴったりサイズを見つけて、初めて気が付かれる方もあります。
足にフィットせずゆとりのありすぎる足袋はピッタリサイズの足袋に比べ、安定感が無いので履いているうち疲れやすいです。
おまけ
足袋を履くタイミング
足袋は、肌着を着る前か後かのタイミングで履きます。
長襦袢を羽織るときには、すでに足袋を履いているようにしましょう。
(撮影のため着物を着用しています)
浴衣に足袋
一昔前なら「え~?」という反応をされる方が多かったことでしょう。
浴衣が【素敵なおしゃれ着】と位置づけられた今では、【半衿を見せて足袋を履く】ことで、クラスアップした着こなしになります。着用シーンに合わせて『素足に下駄』か『足袋着用』を選べる時代だと考えます。
そもそも、『湯上がりに着ていた浴衣』が現代では『日常のオシャレ』ぐらいまで形式昇格しています。
私がまだ若かりし頃、「浴衣の下には『ゆかた下』という夏用肌着を着たほうが良いですよ」と、お話を進めていたところ、年上の女性から「浴衣は素肌の上に着るものでしょう」と言われたことがありました。見解の相違ですね。
太田講師の足袋悩み解消への道
私の足サイズは22.5cmです。若い頃から店内で一番評判の良い足袋を履いていました。でも、いつも足のつま先(特に足人差し指)が痛いのです。どうかすると爪の間に縫い目が当たってジンジン痛むこともあり、大きいサイズ(23cm)を履いてみたりしましたが、足袋の中で足が泳いでいるようで妙に疲れます。
どうしたものかと悩んでいたときに、《きねや足袋フィッター》に出会い【柳型】がマイサイズだと知りました。
それからというもの柳型の足袋を履いていると、あんなに痛かった爪先のことなどすっかり忘れてしまうほど。本当に履き心地の良い足袋に巡り会えたと思っています。
私の実体験から、足の大きい方ばかりでなく足の細く薄い方にこそ、是非ぴったりサイズの足袋を見つけて頂きたいをと思っています。
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written by A.OTA
きもの永見「美装流着付け教室」講師。 「着物でお出かけしてみたい」そんなあなたのお手伝いを致します。 着付け教室HP https://kimono-nagami.com/school/