私たちの若い頃は 『嫁入り道具として一通りの着物を準備して嫁に行く』 というような時代でした。
自分が親になってみると親の気持ちがありがたく感じられます。
ですが、タンスの中に着物が入っているけど、着たことない。 という声もあったり…。
少し寂しくなって、しょんぼりしてしまいます。
一通りの準備をするのは我が子を思う親心。嫁ぎ先で不憫な思いをしないように、恥をかかないように という気持ちが込められていると思います。
お持ちの着物をシーンに合わせてより相応しく着ていただくために、どんな時に何を着れば良いのか考えるご参考に
第一礼装
慶事 | 弔事 | |
未婚女性 | 振袖、五ツ紋付色留袖 | 黒五ツ紋付・黒共帯 |
既婚女性 | 黒留袖、五ツ紋付色留袖 | 黒五ツ紋付・黒共帯 |
男性は既婚・未婚、慶弔を問わず黒五ツ紋付羽織袴です。
準礼装
慶事 | 弔事 | |
女性 | 色留袖、訪問着、色無地 | 色喪服 |
男性 | 色紋付羽織袴 | 色喪服 |
着物と帯の格
いきなり「格」と始まっても一番わかりづらいところかもしれません。
この「格」をいわゆるTPO に沿ったものと考えても良いと思います。
洋服でも着る場面を考えながらTPOに相応しい装いを考えますよね。着物の場合も同じで、結婚式のお呼ばれに浴衣を着ていく方はさすがにいらっしゃらないでしょう。明らかに場違いとわかりますよね。
なんとなく浴衣は違うと分かっても着物になるとよく分からないという方のために違いを比べてみましょう。
帯にも違いがあります。明確なところは形(袋帯・名古屋帯・半巾帯)と金銀糸の有無と考えて良いでしょう。
ざっくり分けると【礼装・フォーマル】と【普段着・カジュアル】になります。
代表的なものを見てみましょう
礼装・フォーマル
着物・黒五つ紋付 ・黒留袖 ・色留袖 ・振袖 ・訪問着 ・付下げ ・色無地 など、絹素材を主として、後染めを基本としています。柄行や紋の有無や数で格が違ってきます。
↑振袖
↑黒留袖
↑色留袖
帯
・丸帯 ・袋帯 ・本綴れ帯 (いずれも金銀糸を使用した格調を感じられる柄行のもの)
普段着・カジュアル
着物・小紋 ・色無地 ・紬 ・綿 ・麻 ・紙布 ・芭蕉布 など、絹素材もある一方で様々な素材があります。
↑小紋
↑大島紬(産地:奄美大島 龍郷柄)
↑琉球絣
帯・袋帯(金銀の入らないもの「しゃれ袋帯」など) ・名古屋帯 ・半巾帯
↑しゃれ袋帯
近年よく耳にするポリエステルの洗える着物は絹に似せた風合いが中心となっていますので、柄付けによりフォーマルとカジュアルに分類されます。
どんな時に何を着れば良いの?
立場によって変わる着物
「主役が誰なのか」によるところが重要になります。
結婚式なら主役は「新郎新婦」 その主役に対しての自分の立場で考えます。母なら黒留袖、未婚の友人なら振袖というように。
結婚披露宴の形式でも変わってきます。来賓をたくさんお招きする披露宴では格式を重んじる雰囲気、友人中心の披露パーティでは少し軽めな華やかさのある小紋などでも良い雰囲気など、主催される側の方々へ確認されることをお勧めします。
上の一覧表を参考にしていただくと着物の種類が重複していることがわかります。
「色無地」はフォーマルにもカジュアルにもありますが、合わせる帯によって変わります。
↑色無地をフォーマルに(西陣織袋帯)
色無地をカジュアルに(琉球紅型名古屋帯)
※江戸小紋(三役柄など武家柄)は色無地と同様にお考えください。
通過儀礼
お宮詣りに始まり、七五三(紐落し)、十三詣りなど人生の節目のお祝いなどです。
お子様の健やかな成長を願って神仏にお参りをされるのですから、フォーマルな装いです。
入学式・卒業式
お子様の門出での式典です。あくまで主役はお子様ですから、母の立場としてフォーマルながらもあまり華美になりすぎないようにしたいところですね。
訪問着や色無地が一般的です。
カジュアルとは?
では、カジュアル着物はいつ着るの?
自分が着たいときに、いつでも着てください。洋服に例えて簡単に置き換えると 紬=Tシャツにジーンズ 小紋=普段着 です。
現代では必ずしも当てはめる必要もなく、ご自分の好みを優先していただいて良いです。
カジュアルな場面では周りの人はほとんど洋服で着物は自分一人というときもあるでしょう。
そんなときは、コーディネートを洋服感覚で色合わせするとワンピース的な雰囲気になり周りが洋服でも違和感がなくなります。
ランチ会やちょっとしたお出かけなど、着物を着るチャンスは自分で作るというお気持ちでドンドン着物を着てお出かけして頂きたいです。
カジュアルの中でも飛び柄小紋はフォーマルアップしてセミフォーマルにも着用できます。洋服で言えばブラウスとスカートでも、ジャケットとパンプスで印象を変えるというイメージでしょうか。
フォーマルとカジュアルを着用シーン別で考えて見ました。
ご参考にして頂き、様々な場面でぜひ着物を着て頂きたいと思います。一般的なものでしたので、ピンポイントでの着物選びやコーディネートのお悩みはきもの永見へご相談ください。
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written by A.OTA
きもの永見「美装流着付け教室」講師。 「着物でお出かけしてみたい」そんなあなたのお手伝いを致します。 着付け教室HP https://kimono-nagami.com/school/