成人式が終わった方はもちろん、これから成人式を迎える方に気をつけていただきたいのが
成人式の後の振袖のお手入れ。
毎年、振袖を着用する前にたんすから出してみたらシミ・カビだらけだった…というご相談をお受けします。
お話を聞いてみると、ほとんどの方が言われるのが「成人式の後何もせずに、そのままたんすの中に入れたらこうなってしまった」とのこと。
振袖を着た後しばらく出番がないので、シミ・カビなどを気にせずに、長くきれいに保ちたい!という方は必見です
目次
成人式が雨・雪ではなくても振袖のお手入れは必須です
見た目が汚れていないから…数時間しか着用していないし… といって着用後、お手入れに出さずにたんすに戻すことは絶対に避けてください。
雨や雪の時はもちろん、当日晴れだったとしても外気の汚れなどが必ず着物に付着しています。
さらに、一度着用した振袖・長襦袢・帯は必ず汗や皮脂に触れています。
そうした外気の汚れや汗・皮脂は後々「シミ」として生地に浮き上がってきたり、着物の湿気がカビの大きな原因に。
大事なお振袖を長く、美しく保存するためには着用後のお手入れは必ず必要です。
成人式終了後・すぐにできるお手入れ方法
①ハンガーにかけて湿気を飛ばす
まず、 着物・帯・長襦袢をハンガーにかけて湿気を飛ばします。
場所は直射日光の当たらない、風通しの良い場所で干しましょう。
ハンガーにかけておく期間は1~2日(少なくても2時間以上)がオススメです。
振袖を干す際の注意点
(日光は移動しますので気をつけて)
・障子越しの日差しにもご注意を
・長い期間(一週間以上)干したままにしておくと、生地のたるみや色ヤケの原因になります。
※着物のご相談の中に、日にヤケたことに関するものがあります。
中でも障子の桟の跡が着物にヤケ残っていたケースもありました。
さらに、振袖・帯・長襦袢はもちろん、他の小物(帯揚げ・帯締め・重ね衿など)も干しておくと良いでしょう。
②振袖・長襦袢の汚れをチェック
次は振袖や長襦袢の汚れを確認しましょう。
特に汚れやすいのが、衿・袖・裾の3か所です。
とくに衿元はファンデーションなどで一番汚れやすい場所。
また振袖は袖が長いことや普段着慣れていないということもあり、階段の登り下りや車の乗り降りでついつい袖底を汚しがちです。
これらの場所に汚れが見えなかったとしても、目には見えない汗染みもあります。
③専門店でクリーニング・汗抜き
上記のチェックで気になる点がみつかれば、そのままきもの永見へお持ちください。
気になる汚れが見当たらない場合でも、当分着用予定がない場合は必ずクリーニングした状態での保管をおすすめしています。
とくに、1月の寒い時期の着用だと思っていても、意外に汗をかいていることが多く、着物が汗を吸収しています。
このような汚れや汗の染み抜きは早いうちにお手入れをすると断然落ちやすいというメリットがあります。
さらに、時間が経ち、変色した汚れは完全に綺麗に落とすのが難しく、料金も倍以上かかるケースがございますので
クリーニングは着用後すぐに出すのがおすすめです。
また、長襦袢に付いている刺繍半襟ですが、一度外してしまうとまたお手入れ後につけるのが大変ですよね。
ですので半襟は外さずにそのままの状態で持ってきていただきますと付けたままのクリーニングが可能な場合もありますので無理に外すことはありません。
ただし、黒い半襟など色が落ちてしまう可能性のあるものは、場合によっては外すこともあります。
一方、成人式後すぐに、学校の卒業式等で着用予定がある方は、卒業式着用後のクリーニングでも構いません。
着物のお手入れをもっと簡単に~振袖の長期保管は「シルクパック」で完璧~
できるだけ長く、きれいな状態で保管しておきたいですよね。
振袖や黒留袖・訪問着などのお着物を、いざ着用しようと思ったら
カビやシミだらけに、でもクリーニングが間に合わない…
そういった苦い経験をした方は少なくないと思います。
そのようなトラブルの対策としてオススメなのが
長期の保管が簡単に、美しく保てる「シルクパック」です。
シルクパックとは?
着物を中に入れ、中の酸素を取り除き、代わりに安全な不活性ガスのみを注入した長期保管専用袋です。密閉された専用袋の中は、酸素を取り除いておりますので酸化によるシミやカビ・劣化を防ぎます。
また、酸素を抜くだけですと圧縮状態で皺になりますが、代わりの不活性ガスにより中の着物はふっくらときれいに保たれます。
以前より食品の保存、精密機器の保管などに利用されてきた、信頼できる技術です。
シルクパックの9大メリット
2 防虫効果
3 湿気遮断による縮み防止
4 金銀箔の変色防止
5 酸化退色の防止
6 黄変防止
7 ほこり・水害・水漏れからの保護
8 市販の防虫剤や防カビ剤不要
9 虫干し等の手入れ不要
クリーニングのご返却後の注意
クリーニングから帰ってきた後の振袖の保管も注意すべきことがあります。
もともと振袖を入れていたたとう紙に、お手入れ後の振袖を入れられる方もいらっしゃいますが、入れる前に確認していただきたいのが、たとう紙に染み・カビが発生していないかどうかです。
振袖がきれいになったとしても、それを包むたとう紙のカビが振袖に移って結局お手入れをし直した、というお話もよくお伺いします。
たんすに収納する前に、きれいなたとう紙かどうかを確認した方が良いでしょう。
また、お手入れから帰ってくる際、お店のたとう紙に包まれているのでそのままたんすに入れておかれると安心です。
ただし、たとう紙は半永久的にきれいな状態を保つわけではありません。
その状態で何年、何十年とたんすの中で放置しておくと(特に湿度の高い場所では)あらたにカビ・シミが発生する可能性もあります。
少なくとも1年に1度は換気がてら、たんすの中を開いて、たとう紙の状態をチェックすることをおすすめします。
きもの永見・クリーニングサービス
きもの永見のクリーニングに関しては、こちらのページをご参考にどうぞ。
お振袖はもちろん、その他のお着物クリーニングも大歓迎です。
また、その他お手入れで気になること・不安な点があればお気軽にご相談下さいませ。
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written by TAKAHASHI
文化学部卒業後、和文化に興味を持ち地元の歴史ある企業・きもの永見で呉服の世界へ。 日々着物のことを学びながら皆様の「分からない」にお答えしていきます。