息子さんや娘さんが結婚される際、お母様の立場の装いとして着るのが黒留袖。また、新郎新婦のご親族や仲人婦人も着用される、ミセスの第一礼装の着物です。
黒留袖を着用の際、どんな髪飾りを使えばいいですか?というご質問を頂くことが多いです。やはり結婚式のゲストをお迎えする立場として、ふさわしい装いを心がけたいですよね。
今回は黒留袖など、フォーマル系の着物を着る時に適した髪飾りについて説明していきます。
目次
黒留袖にふさわしい髪型は?
黒留袖は黒地に染め抜きの五つ紋を付けた絵羽裾模様の着物で、現代では既婚女性の慶事の第一礼装として最も格式の高い着物の一つです。
▼黒留袖の歴史やコーディネート、格調の高さなどをこちらの記事に解説しています。
黒留袖のように格の高い着物を着る際にヘアスタイルが格式にそぐわないものだと、せっかくのお着物姿なのに印象が悪くなってしまうこともあります。
基本的には清潔感の有る装いが重視されるので、ヘアスプレー・ワックス等のスタイリング剤を使って美しい毛流れを作り、フォルムを整えてエレガントにまとめましょう。
襟足やもみあげの後れ毛がボサボサですと目立ってしまい、乱れた印象を与えます。また、毛先をカールさせて遊ばせるなどのアレンジは控える方が無難です。前髪は揃えて流すか、すっきりとアップにしましょう。
黒留袖に適した髪型・ヘアセットについて、長い髪と短い髪の2パターンをご紹介します。
長い髪の場合
フォーマル服である留袖を着る際には、髪型はアップにすることがマナーの基本。
ハーフ・アップなど髪をおろすヘアスタイルは留袖には適していません。 最近は振袖等の髪型で、ポニーテールのようにひとつ結びにしたスタイルが人気ですが、このように髪の毛をおろしたスタイルや、毛先を遊ばせたり、アップにした毛先を垂らすスタイルも留袖ではマナー違反です。 毛先は全てきっちりと上品にまとめた髪型にしましょう。
ショートヘアの方は
短い髪の方は結婚式でゲストをお迎えする立場ですから、お辞儀をする機会も多くあります。短い髪の方は髪が乱れないようヘアネットやピンを使って固定するとよいでしょう。
前日までにしておくと良いこと
ヘアセットは個人の好みや髪質・髪の長さによって異なるため、自分に合ったスタイルを選ぶことが大切です。
自分に合う髪型がわからないという方は美容室で前もって当日の髪型を相談するのをおすすめします。美容師さんは何十人の方のヘアアレンジの経験があるプロなので、結婚式にふさわしく、なおかつご自身にぴったりなヘアセットを提案してもらえます。
当日だと着付けの時間もあるのでバタバタして納得のいく髪型にできなかった…という場合もありますので、事前に相談しておかれるとより安心でしょう。
ぜひ、結婚式の着物姿を引き立てる素敵なヘアスタイルを見つけてください。
黒留袖に合う髪飾り
黒留袖の時に使う髪飾りは、フォーマル用のシンプルなタイプを使用します。
画像のように、塗りのかんざしやべっこう、パールのピンなど高級感があってシンプルなものを使用します。
髪をすっきりとまとめているので、かんざしやピンは大ぶりのものを選ぶと映えます。
黒留袖に合う髪飾りもさまざまなデザインがあるので、写真つきでいくつかご説明します。
黒い塗りのかんざし
地が黒色なので、デザインされている模様がよく映えるタイプのかんざしです。
黒留袖によく合う髪飾りとして人気が高いこのタイプ。螺鈿を施したり、パールをあしらったりとデザインも様々。ブラックやダークブラウンなどの髪型によく合います。
べっこうのかんざし
かんざしというとべっこうタイプの髪飾りをイメージされる方が多いと思います。べっこうのかんざしは格調高さや上品さがあるので時代を問わず人気のアイテムです。 本物のべっこうを使用したものはとても高価なものが多いため、最近はプラスチック製の品も販売されています。
白のかんざし
白のかんざしは上品さと明るさが演出できるアイテム。黒留袖に限らず、訪問着、色無地、付下げなどどのようなタイプのフォーマル着物にも合いやすいので、黒留袖以外の和装で使いたい時に重宝されます。
パールタイプのかんざし
パールがあしらわれたかんざしはシンプルながら上品さのある髪飾り。チャペルなど洋風の会場や洋風デザインの留袖にも合いますし、着物に限らずドレス・スーツなど和洋両方で使用できる便利なアイテムです。
Uピンタイプのパールピン
パールがあしらわれた小さなUピンは、3~5本セットで販売されているものが多いです。
すべて独立しているので、どのようなヘアレンジでもお好きなところに飾れるのがメリット。
一つ一つはとても小さいので、メインとして使用するより、かんざしに付け足すことが多いです。また、ショートヘアのためかんざしを使えない方も耳元に添えることの出来るアイテムです。
フォーマル髪飾り 黒留袖以外で使用するシーン
先程説明したフォーマル髪飾りは黒留袖以外の着物でも使用できます。
例えば、宮参りや七五三といったお子様の行事で訪問着・色無地を着る際も使えます。
また、お子様の卒業式に着物で出席されるときもフォーマル髪飾りのような上品で小ぶりなタイプは重宝されます。
黒留袖にはNGな髪飾り
振袖用に使うような大きなお花の髪飾りやリボン、ヘッドドレスはもちろんNGです。ゲストをお迎えする立場としても、出席される側としても、花嫁よりも目立ってしまうような髪飾りは場違いですので避けましょう。
フォーマル用の小ぶりなデザインでも、過度にキラキラ光るものやカラフルなもの、ジャラジャラと垂れ下がるデザインのヘアアクセも同様です。
これらの髪飾りは、成人式や大学の卒業式、浴衣など自分がメインで華やかに着飾る場所で使うものなので、基本的に結婚式等フォーマルな装いが求められる場所では大人しく上品にまとまるものを探しましょう。
まとめ
着物の髪飾りは、髪のスタイルや着物の種類によって使い方やデザインが異なります。自分の個性や好みに合わせて、着物と髪飾りの相性を考慮しながら、素敵なコーディネートを楽しんでください。
結婚式のTPO、留袖着用時の諸注意
▼黒留袖のレンタルについてご説明しています。
▼結婚式の際の立場別着用マナー、TPOについて説明しています。合わせてこちらの記事もどうぞご覧ください。
▼黒留袖・色留袖を着用したときの必需品である扇子「末広」の扱い方についてはこちらをどうぞ。
written by TAKAHASHI
文化学部卒業後、和文化に興味を持ち地元の歴史ある企業・きもの永見で呉服の世界へ。 日々着物のことを学びながら皆様の「分からない」にお答えしていきます。