こちらのブログ記事で浴衣の帯結びの基本について解説してきました。
基本の結び方を理解された方や、少し変わった帯結びをしたい方向けに、今回は半幅帯の帯結びアレンジの方法を、写真つきで説明していきます。
基本の文庫結びより華やかにしたい方、また、大人の女性向けの落ち着いたお太鼓風帯結びなど
半幅帯で様々なアレンジを試したい方にオススメです。
目次
帯結びの基本~手とたれ~
「手」と「たれ」は帯結びの基本です。これらを理解して帯を結ぶことでややこしく見える帯結びがぐっと簡単になります。
・帯の「手」とは…
一方向に向かって柄がある時、柄の向きに対して上側もしくは左側になる方を「手」にします。
半幅帯の場合、結ぶときに2つ折りにして使用する部分で、最終的に結び目の中心にきます。
▲帯結びの際、最初に長さを決め、幅の真ん中で半分に折り肩に預けておきます
・帯の「たれ」とは…
一方向に向かって柄がある時、柄の向きに対して下側もしくは右側になる方を「たれ」にします。
半幅帯の場合、最終的に、背中で帯結びの形になる部分です。
▲写真のように、たれを最後に被せる場合は柄がついている方をたれ側にするよう気をつけましょう。
無地の帯の場合はどちらを手・たれにしても大丈夫です。
ただし、手の先の部分は予め真ん中で半分に折るため折り目が付きやすいので、2回目以降帯結びをする際は折り目がついている方を手とする、としておくと結びやすくなります。
半幅帯アレンジ~リボン返し~
基本的な結び方は文庫結びと同じ流れですが、羽を作る際にリボン結びを作る方法もあります。
文庫結びより羽根の枚数も多く作れますし動きのある華やかな帯結びになります。
手先の長さを決める
リボン結びの手先の長さは文庫結びの時よりも多めにします。今回は肩幅分の2倍ぐらいの長さを半分に折り、手先の折り目の山側が外になるようにして肩にかけておきましょう。帯は着物クリップで帯板、腰紐などに固定しても良いです。次に、体の前にある帯を三角形になるように折って帯を開きます。そのまま胴に巻いていきます。
帯を胴に巻きつける
たれを胴に一回巻きます。この時、最初に折った手の長さがずれないように気をつけます。
一周したら、同様にもう一回巻きます。
次は巻き付けた帯を一度締めます。
手先からおろした部分(三角形の下の部分)を片手で持ち、1周巻いた後の残りの帯の下部分を反対の手で持って、左右に少し引っ張り緩まないように帯を締めます。下部分を持って締めることで、みぞおち部分にゆとりが生まれ胸が苦しくなりにくいです。
クリップでたれの下線を止めた跡、たれの下側を、脇から斜めに折り上げます。
次に、手を反対側に寄せて、そのまま手でたれを上から巻いてひと結びします。
ここまでの手順は 浴衣の帯結びマスター術 ~基本編~ にて解説した内容と同じ手順です。
蝶々結びをする
次は羽根を作っていきます。まず、手先は垂らしたまま、たれの根本を広げておき、根本から作りたい羽根の幅分を写真のように折り返し、重ね合わせます。
たれで作った羽根の上から手先を羽根の上から被せるように、蝶々結びをしていきます。
▲写真のようにリボンを作ります。左側の羽根も形を整えます。左右均等になると見栄えが良くなります。
リボンの端を結び目から通す
次に、手の先を結び目の裏側に通します。
リバーシブルの半幅帯の場合、根元をねじって裏面を見せると2色使いで彩り華やかな帯結びになります。
通した手の先を結び目を隠すように被せます。多めにかぶさってしまったら、手先の根本から結び目の裏側を少し膨らませ、手先を短くしたりと、調節することが可能です。
羽根を整え、帯を回す
最後に、羽根の形を整えたら前で結んだ帯を背中側に回していきます。
回し方も文庫結び同様、右手で結び目を、左手で帯の下を持って右方向に回します。
文庫結びよりも少し羽の形が複雑なのでアレンジの仕方によって雰囲気が変わります。
今回は、手先の長さを長めにしましたが、もう少し短くしてみても違った雰囲気になります。慣れてきたらいろんな手先の長さでアレンジを工夫してみると帯結びの幅も広がります。
半幅帯アレンジ~羽根づつみ~
文庫結び、リボン返しと羽根が大きく比較的若い方向けの可愛らしい帯結びを紹介してきました。お次は大人の女性らしさのある上品な帯結び、「羽根づつみ」の結び方を紹介します。
小さな蝶結びを土台にし、小さなお太鼓=「鼓(つづみ)」をかぶせた結び方で、乗り物や椅子の背に持たれても形崩れしにくい点が特徴です。
手先の長さを決める
一般的な半幅帯の結び方同様、まずは手先の長さを決めて胴に巻くところから結び始めます。羽根つづみの場合、「たれ先」が出る結び方なので「たれ」に柄がある帯ならその反対側を「手」としましょう。
手先から80cmほどの長さをとり、その幅を縦半分に折ります。輪が下になるようにして体の中央に当て、たれ側を胴に一回巻きます。
帯を胴に巻きつける
※手順は先程の「リボン返し」や「文庫結び」と同じ流れです。
たれを胴に一回巻きます。この時、最初に折った手の長さがずれないように気をつけます。
一周したら、同様にもう一回巻きます。
次は巻き付けた帯を一度締めます。
手先からおろした部分(三角形の下の部分)を片手で持ち、1周巻いた後の残りの帯の下部分を反対の手で持って、左右に少し引っ張り緩まないように帯を締めます。下部分を持って締めることで、みぞおち部分にゆとりが生まれ胸が苦しくなりにくいです。
クリップでたれの下線を止めた跡、たれの下側を、脇から斜めに折り上げます。
次に、手を反対側に寄せて、そのまま手でたれを上から巻いてひと結びします。
小さな蝶結びを作る
ひと結びした後、一度手を上に、たれが下に来るようにねじって立てるとゆるみにくくなります。
たれを体の幅くらいで折り返し、羽を作ります。
羽根はリボン返しのように根本を広げてもいいですし、縦半分に折った状態で折り返してもコンパクトな雰囲気にまとまります。お好きな羽根の雰囲気で折り返してみて下さい。
たれで作った羽根を手でくるんで小さく蝶結びにしていきます。手で作った反対側の羽根を整え、手先は少し残るようにします。
この小さな蝶結びは次に作るつづみの土台となるので、羽根がしっかりと立つように固定します。
結び目はしっかりと結び、手とたれの根本は広げておきます。
手先、たれを結び目から通す
根本を広げた手先を、たれの下側を通り、結び目の中から外へ通していきます。
画像の手順で手先を通したら、結び目に被せるようにして下に下ろします。
次はたれを結び目に通します。
手先同様、たれも結び目の根本から広げた状態にしておきます。
たれも手先同様に結び目の中から外へと通します。
タレ先を引っ張りつつも、結び目の根本から小さな羽を作るように、全て引き抜かないように気をつけつつ、バランスを取ります。
引っ張り出したたれ先を手先の横に少しずらすようにして被せていきます。この時、土台の蝶結びにして作った羽根が少し見えるようにして羽根とつづみの形を整えます。
羽根を整え、帯を回す
最後に、羽根の形を整えたら前で結んだ帯を背中側に回していきます。
回し方も文庫結び同様、右手で結び目を、左手で帯の下を持って右方向に回します。
羽根づつみは最後にたれの先を被せる結び方なので、表情に変化の生まれるリバーシブルの帯や、たれの先端にポイント柄がある帯ですとより印象的にまとまります。
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written by TAKAHASHI
文化学部卒業後、和文化に興味を持ち地元の歴史ある企業・きもの永見で呉服の世界へ。 日々着物のことを学びながら皆様の「分からない」にお答えしていきます。