はじめてのお子様のご誕生、お宮詣りを迎えるご両親は
お宮詣りって何をしたら良いの?どんな準備をすれば?と疑問なことがたくさんあることかと思います。
今回はお宮詣りの意味や当日の流れ、いつ、どこでお詣りをするのか?から赤ちゃんとご両親の服装まで、
お宮詣りに必要なマナーや準備をまとめました。
目次
お宮詣りとは
お宮詣りは赤ちゃんの誕生を地域の氏神様に報告し、これからの健やかな成長をお祈りする行事です。
一般的には生後一ヶ月前後に行い、祝い着をかけた赤ちゃんを家族みんなで囲んで参拝し、地域の氏神様へ出生のご報告を済ませます。
お宮詣りの流れ
お宮参り当日の流れがわかっていれば、事前の準備やその後の予定も立てやすくなります。
事前に当日の流れを確認しておきましょう。
衣装に着替える
赤ちゃん、赤ちゃんの両親、赤ちゃんの祖父母の衣装を着ましょう。
お母様、お祖母様などが着物を着る場合は時間がかかることが多いです。
男性陣が先に着替えて赤ちゃんや女性陣をフォローできるような体制を整えておきましょう。
また、自分で着付けるのか、着付けてもらうのかによって、支度にかかる時間が違ってきます。
自分で着付ける場合には前もって練習しておき、何分くらいかかるのか計っておくと当日の朝のスケジュールがスムーズに立てられるでしょう。
また、美容師さんに着付けしてもらう場合には、着付けにかかる時間は1時間程度見込んでおきましょう。
ヘアセットやメイクも頼む場合はもう少し時間がかかる場合も。
ご祈祷
ご祈祷とは、神主からお祓いを受けて祝詞(のりと)をあげてもらい、氏神様にわが子の健やかな成長を祈ります。
ご祈祷を受ける場合にはまず受付を済ませるようにしましょう。基本的に、この時に御初穂料を渡します。
ご祈祷時間は神社によって様々ですが大体20~30分です。
写真撮影
親族がそろって新たな家族を囲み記念の一枚を撮影します。
お宮詣りはご両家揃って新しい家族の誕生を祝う、またとない機会。
正装で着飾った家族写真は一生忘れられないご家族の宝物になるでしょう。
見返すたびに生まれた日のことを思い出し、しあわせな気持ちに。
お食事
お宮参り後はお子様を囲んでお食事を楽しむのが一般的。
新しい家族の誕生をご家族皆さまでお祝いします。
お宮詣り前日までに準備すること
初産のお母さん、お父さんはなにもかも初めての事なので、赤ちゃんが生まれたすぐ後は慌ただしくなってしまいます。
気づいたらあっという間にお宮詣りの時期に…ということも。
予め出産の前からご準備しておかれると安心です。
お宮参りの前日までに準備するべきことは意外にも多いです。初めての育児の中で大変ではありますが、お母さん、お父さんで協力して順々に準備をしていくようにしましょう。
日程を決める
地方によって様々ですが、一般的には男の子で生後31~32日後、女の子は32~33日後が良いとされています。
しかし最近ではそこまで日にちに拘らず、赤ちゃんやお母さんの体調や気候に合わせて行うのが一般的です。
昔ほど厳密に日にちが決められているわけではありませんが、
「赤ちゃんが生まれるまで考えていなかったので、生まれてからお宮詣りの準備が大変だった」
というお声もお聞きします。
赤ちゃんが生まれるまでに大体の日取りや衣装の準備などは済ませておいたほうが慌てずにすみますよ。
衣装を準備する
赤ちゃんの衣装赤ちゃんは宮詣着(祝着)を着てお参りするのが正装とされていますが、現在ではベビードレスも人気です。
和祝いでは、伝統的な祝着でのお詣りをおすすめしています。
お宮詣りのために祝着を購入するご家庭と、レンタルを選ばれているご家庭はそれぞれ同じくらいです。
◉購入の場合
購入をお考えの場合は、紋入れのご相談や着用後のお手入れもしっかりと対応する所がほとんどなので地域の呉服屋さんに相談するのが安心です。
おじいちゃん・おばあちゃん(両親や義両親)に相談して一緒に行くのも良いでしょう。
▼お宮詣着の家紋についてはこちらの記事でも説明しています。
◉レンタルの場合
レンタルする場合には、衣装が豊富な呉服屋さんだけでなく写真館でも衣装レンタルの取り扱いがある場合があります。
どういった小物を貸してもらえるのか、貸出期間などもしっかりと確認する必要があります。
また、お母さん、お父さんが赤ちゃんのときの祝着を大事にとっていたので新たに誕生した赤ちゃんに着せてあげる、というパターンもあります。
必要な小物が揃っているかどうか不安な場合は、呉服屋さんで相談されると良いでしょう。
◉祝着の下には何を着ればいいの?
お宮詣りの和装としては白羽二重(しろはぶたえ)を着るのが正式ですが、今は普段のベビー服や肌着を着せる方がほとんどです。
また、お宮詣着の下をベビードレスにしておけば、お宮詣り着とベビードレス、どちらの写真も残せますのでおすすめです。
衣装の柄についてはこちらの記事で詳細をご紹介しています。
▼男の子編
▼女の子編
家族の衣装
赤ちゃんが正装の祝着(産着)を身に着ける場合、ご両親の服装もそれに合わせて同格の服装を選びましょう。
主役の赤ちゃんより目立たないことも大切なポイント。
◉お母さんの服装
赤ちゃんに正式な祝着を着せるなら、お母さんも訪問着や色留袖を着るのが本式。
ですが、産後の体型や授乳のしやすさ等からスーツやワンピースを選ばれる方もいらっしゃいます。
ただ、赤ちゃんに宮参り着をかけて写真に収めた時、きれいな着姿なのは和服でしょう。
着物なら淡い色合いで、柄も派手すぎず上品な訪問着がおすすめです。
◉お父さんの服装
お父さんの方は白のワイシャツに礼服(ブラックフォーマルスーツ)が基本ですが、ダーク系ならノーマルスーツでもOKです。
靴と靴下は黒で揃えますが、ネクタイだけは黒は厳禁なのでご注意を。
参拝場所・ご祈祷料・参加者を決める
日程、衣装が決まったら、参拝の場所や当日の段取りを決めておきましょう。
参拝の場所は?
諸説ありますが、一族の氏神様がいて、先祖代々のお詣りの神社が決まっている等の特別な理由がない場合は、自分の家の近くの神社におわす産土神をまずは詣でるのが一般的です。
◉ご祈祷はどうすればいいのか
場所が決まれば、参拝予定の神社に事前に予約が必要かどうかも調べておきましょう。
日時によってはご祈祷が難しい場合もありますので、お早めの確認をおすすめします。
初穂料について
お宮参りで神社にご祈祷をお願いする場合「初穂料」「玉串料」「ご祈祷料」のいずれかを用います。
初穂料を用意する際は、のし袋や封筒に包んで渡すのがマナーとなります。
◉初穂料はいくら納めればいいの?
神社によって様々ですが、初穂料は5,000円~10,000円が一般的です。
あらかじめ初穂料が決められている神社もありますので、事前に調べておきましょう。
ご祈祷料に限らず、神社によってご祈祷の時間や、スタイル(一家族でor複数家族一緒で)が異なることもあります。
何にせよ事前調査は必要になります。
ご祈祷に参加するのは?
古くは、赤ちゃんと両親、父方の祖母が風習でしたが、現代では両親と両家の親(祖父母)まで揃ってお詣りする家族も増えています。
実際に6割近くのご家族は、おじいちゃん、おばあちゃんまで揃ってお参りしているようです。
やはり、可愛い孫の晴れ舞台なので張り切られるご家族が多いようです。
ちなみに、お詣りの際に赤ちゃんを抱っこするのは、父親側の祖母が正式とされていますが、こちらも昔ほど厳密な決まりはなくなってきています。
お宮参り当日の持ち物
当日はなにかとバタバタしてしまうので、持ち物は前日までに用意しておくと良いでしょう。
必要なときにスムーズに取り出せるように荷物を分けておくことも忘れないでください。
◉御初穂料
のし袋にいれて渡すようにしましょう。
◉おもちゃ
赤ちゃんがぐずったときに遊べる音の小さめのおもちゃがあると良いでしょう
◉おむつセット
◉ミルクセット
◉着替え
赤ちゃんは何があるかわからないので、2着程度着替えを用意しておきましょう
◉タオル、ガーゼハンカチ
◉抱っこ紐
◉カメラ
バッテリーやメモリー等も忘れないようにしましょう。
お宮詣り後の予定は?
参拝後の予定を決める
参拝自体の予定が決まった後は、参拝後の予定を決めましょう。
赤ちゃんのおじいちゃん、おばあちゃんを呼ぶ場合には、食事会や記念撮影をする家族が多いです。
食事会をする場合食事会をする場合には、赤ちゃんが泣いてしまったりするとお母さんも気を張ってしまうので、個室があるレストランだとより良いです。
お食事は、赤ちゃんの健康や幸せを祈るため、お宮詣り後の食事会は「祝い膳」を食べることが多いです。
祝い膳に含まれている料理にはそれぞれ意味が込められており、お赤飯には「魔除け」、エビには「長寿」、鯛には「めでたい」など、どれも赤ちゃんの健康を祈るために用意されています。
支払いの相場は1人あたり3000~5000円程度です。
支払いはおじいちゃんおばあちゃんの家族で折半する場合や、お宮参りのご祝儀を多めにもらった際には赤ちゃんの両親が支払う場合など様々ですので皆さまとご相談しながら決められると良いでしょう。
暑い時期、寒い時期に気をつけることは?
真夏や真冬にお宮詣りが重なる時は赤ちゃんの体調管理には特に注意が必要になります。
夏と冬、それぞれ気をつけながら対策をとりましょう。
◉夏のお宮詣り
熱中症対策として日傘や保冷剤、湯冷まし等を持っていきましょう。
また、汗対策として着替え、タオルやハンカチも用意しておくと安心です。
◉冬のお宮詣り
寒い時期にお参りに行く場合、ストールやアフガンなど1枚包めるようなものを持っていくと便利です。
さっとくるめて、さっと広げられる。眠くなったら下に敷くことも掛けてあげることもできるのでとても重宝します。
喪中の場合は?いつお宮詣りをするの?
一般的には神道では「忌中」の期間は50日間と言われ、神社境内へ死の穢れを持ち込まないように、出入りが禁じられていると言われています。
◉喪中の場合の対応策
お宮詣りの時期を50日以降にずらしたり、神社ではなくお寺にお参りしたりと様々あります。
ただ、ここはご家族の気持ちと考え方の問題ともいえますので各ご家庭で話し合いをして決められるのが良いでしょう。
地域によってさまざまなお宮詣りの小物
お宮詣りの時、赤ちゃんに持たせるおもちゃによって、込めてある願いや用い方が異なります。
それぞれの地域によって特色があるので、両親や義両親、ご近所の方に前もって聞いておくとよいでしょう。
◉扇子
扇子は末広がりの形から、「この先の人生が扇子の形のように末広がりであること」という願いが込められています。
場所によっては、お宮参りの前に扇子を開いて赤ちゃんの名前と生年月日を記入する事も。
お参りに行くときに白色の麻縄で結ってあるのし袋にいれて、着物につけます。
麻の縄は髪が白くなるまで長生きできるようにと長寿を願ってあります。
◉犬張り子
犬張り子は犬や子犬の形をしたお守りです。
子犬はなかなか病気にかからないことから、赤ちゃんが健康にすくすくと育つようにという願いが込められています。
子どもが数え年になるまでの3さいまで、災難を犬張り子が代わりに受けてくれるとされています。
また、犬は多産で安産であることから、安産祈願としても有名です。
犬張り子は本来七五三の3歳の七五三の際に奉納するべきですが、忙しい日々の中で忘れてしまうこともあるでしょう。もし忘れて保管してしまっていた場合には都合のよい時に神社に持って行って奉納するか、お焚き上げをしてもらうとよいでしょう。お焚き上げは神社にもよりますが、定期的に行っていることが多いです。近くの神社に参拝した際に、聞いてみるとよいでしょう。
◉お守り袋
お守り袋はその名の通り、お守りのための袋です。
多くの場合長寿の象徴である鶴が描かれており、赤ちゃんが長生きできるようにと願いが込められています。
昔から房が白のものが男の赤ちゃん用、房が赤のものが女の子用とされていますが、地域によっては白で統一されていたりと現在はそこまで色にこだわらないこともあります。
◉でんでん太鼓
でんでん太鼓の起源は起源は宮中雅楽の振鼓(ふりづつみ)という楽器です。
でんでん太鼓は太鼓の叩く部分から柄の部分まですべてが丸(円)で作られていることから、尖らず穏やかで裏表のない性格に育ちますようにという願いが込められています。
また、その昔より、太鼓の音には悪霊や災難をよけてくれる効果があると信じられていました。
お宮参り後には赤ちゃんの部屋に飾ってあげることで厄除けとしての願いも込められています。
◉紐銭
関西でよく使われるのが紐銭です。別名「帯銭」とも呼ぶこともあります。
紐銭は愛知県の熱田神社が発祥で、「1年12か月(一生)赤ちゃんがお金に困らないように」という願いから始まりました。
親族や友人、近所の方から赤ちゃんへの初めてのご祝儀として、5円(ご縁)や50円(ご重縁)を12か月分の12枚を紐で結わえた物をもってお宮参りを参拝したとされています。
最近では赤ちゃんへの初めてのご祝儀として1000円・3000円・5000円のお金を贈るのが一般的となっています。
ご祝儀は紅白もしくは金銀の蝶結びの水引のついたご祝儀袋にいれ、袋の上部に穴を空け、白い麻の紐で他の小物と一緒に結びつけましょう。
ご祝儀袋には「紐選」「御紐銭」「帯銭」「御祝い」などと書き、ご祝儀袋の下部には送り主の名前を書くようにしましょう。
なにかとバタバタしているお宮参りでは、小物を落としてしまうこともあるので、中身のお金を入れ替えておいて、ご祝儀袋のみ持ち歩く方もいるようです。
紐銭は地域や稼ぎ先のしきたりによって他の小物より違いが出やすくなっています。両親や近所、地域の神社で相談するとよいでしょう。
最後に
古来から受け継がれてきたお宮参りには
「わが子が成長するその一歩一歩を応援したい」という、ご家族のすてきな想いがたくさん込められています。
日本で生まれ、過ごすからには、わが子初めての晴れの日は、和の伝統行事でお祝いしませんか?
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written by TAKAHASHI
文化学部卒業後、和文化に興味を持ち地元の歴史ある企業・きもの永見で呉服の世界へ。 日々着物のことを学びながら皆様の「分からない」にお答えしていきます。