鳥取県米子市で振袖・着物のレンタルやクリーニング・着付け教室はきもの永見

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和文化

春・秋・冬3シーズン着られる!木綿着物の特徴と魅力とは?

着物を着る際には素材に注目する人も多いはず。

正絹、麻、ポリエステル…その中でも、木綿の着物はいかがでしょうか?

カジュアルで扱いやすい木綿着物。

今回は木綿の着物の特徴と魅力をお伝えします。

木綿着物の特徴と気をつけること

木綿生地は綿糸を織って作られた生地です。

木綿着物は裏地を付けない単衣(ひとえ)仕立てが一般的です。

特徴

肌に優しく、水分をよく吸収する

絹などの着物に比べて比較的丈夫にできている

汚れが目立ちにくく、お家で洗濯できお手入れが簡単

比較的丈夫でお手入れが簡単、というところから、木綿着物は昔から普段着として愛されてきました。

また、木綿着物は綿糸を使っているので、正絹(しょうけん)着物よりも安価に購入することができるのもポイントですね。

一方で、木綿着物には気をつける点もあります。

注意ポイント

お手入れは簡単でも、縮みやすく、しわがつきやすい

他の生地の着物に比べ色落ちしやすい

摩擦に弱く、毛羽立ちやすい

縮みに関しては、きちんとしたきもの屋さんならあらかじめ水通しをして納品してくれるところもあります。

ある程度縮ませて、お家で洗ったときの縮み幅を小さくしてくれているのです。

それでも、はじめのうちは実際にお家で洗ってみて、縮み具合を確かめたほうが良いでしょう。

こういった特徴から、格式張った場、正式な場にはどちらかというと不向き。

やはり木綿着物は現代でも、おしゃれでラフなお出かけ着におすすめといえます。

▼着物の格と種類とは?

着物の種類と格についてわかりやすく解説します

木綿着物の種類

木綿着物の名前はざっくりと3タイプに分けるとわかりやすいです。

絣(かすり)とは

絣(かすり)は布を織りあげる前の糸の段階で、柄を考えて染め分けしてから織っていきます。

この技法を「絣」と呼びます。

布を織りあげる際に現れるかすかな模様のズレが掠れて見えることから「絣」と呼ぶのだそう。

この先染めの染め分け技法で織られたものは、基本的にすべて「絣」なので、木綿着物の絣の他にも麻や絹の絣もあります。

しじら織とは?

張った経糸と弛ませた経糸を交互に配置して、独特な波状のシボを出す織物。

干していた着物が雨に濡れ、縮んだことに着想を得て作られたとされます。

シボがあることで肌へ当たる面積が減ることによって、ベタつかず、風通し良く着られることが特徴です。

木綿のしじら織のほか、絹で織られたしじら織もあります。

「阿波しじら織」として徳島県伝統的工芸品に、「阿波正藍しじら織」として国の伝統的工芸品に指定されています。

大きな木綿着物というくくりはぼんやりとよく分からなくても 久留米絣伊勢木綿 などの固有の産地の名前は聞き覚えがあるという人もいるでしょう。

久留米絣や伊勢木綿は上のカッコの中に紹介した様々な木綿着物の中でも、特に最近の人気が高い木綿。

比例して知名度も高いまさに木綿着物の代表格と言えます。

知っている方も多いので、木綿着物初心者の方にもはじめの取っ掛かりにしていただきやすいです。

伊勢木綿(いせもめん)

三重県の指定伝統工芸品である伊勢木綿。

以前は多くの作り手がいましたが、現在では臼井織布株式会社のみが作れるものです。

明治時代から変わらない製法で作られている伊勢木綿は一日一反(13メートル)しか織ることができません。

その生地は、厚い生地が特徴の木綿の中ではさらっと薄手。

着れば着るほど柔らかくなることから、着物愛好家から非常に愛されています。

暑い時期が長くなっている現代に嬉しいですね。

久留米絣(くるめがすり)

福岡県久留米市で織られている久留米絣は国の重要無形文化財、また伝統的工芸品に指定されています。

日本三大絣として有名な木綿着物のひとつで、藍色の生地に真っ白な柄模様が特徴です。

最近では既存の色柄に囚われないモダンな色付け・柄付けの久留米絣も見られ、ますます現代のおしゃれニーズに合わせたスタイルで楽しんでいただけるようになっています。

弓浜絣(ゆみはまかすり)

私たちきもの永見がある鳥取県西部の、弓ヶ浜地方に約250年前から伝わるとされる弓浜絣。

鳥取県の指定無形文化財であり、経済産業省指定の伝統的工芸品でもあります。

織る前に浮き出る柄を計算し、弓ヶ浜地方で栽培されている伯州綿を藍で染め分けしているのが特徴です。

新しい表現 木綿×加賀友禅

木綿着物に新しい表現をもたらした加賀友禅作家・奥田勝将先生。

加賀友禅といえば、細かく防染を施した図柄に筆で色を染めていく、友禅染の染色技法のひとつです。

▼加賀友禅とは?

加賀友禅とはどんな着物?加賀友禅作家さんに聞いてみました。

奥田先生は、糸を先染めして柄を織る木綿着物の既存のイメージを超えて、木綿の生地に友禅染を施した新しい着物を作っています。

今までの木綿着物とは少し違った風合いと涼やかな柄づけを楽しめますね。

木綿着物の魅力

ほぼ季節を選ばず着られる

木綿着物は裏地のない単衣の着物ですが、木綿の生地自体が絹などの他の着物に比べて厚いです。

ですので、一般的に言われる単衣着物のシーズンの枠を超え、盛夏以外の春・秋・冬の3シーズン着ることができます。

木綿の着物の格は普段着用で、洋装に例えるならTシャツとデニムと言った感じなので、気軽なお出かけに最適です。

帯・小物の種類を選ばない

木綿の着物は普段着用のため、厳密なコーディネートの決まりはありません。

フォーマルな帯や小物以外のアイテムならおおむね合わせていただけます。

半幅帯(浴衣に合わせる帯というと分かりやすいかと思います)を合わせてより気軽に着るもよし。

半幅帯

綿や紬の名古屋帯でお太鼓を作っても素敵です。

自分の好きなコーディネートが出来るのは大きな魅力ですね。

お手入れがラク

木綿の着物は自宅の洗濯機で洗うことができます。

大きめの洗濯ネットに入れ、洗剤はおしゃれ着洗い用のものを使うのがおすすめ。

▼着物の型崩れを防ぐ専用ネットもあります。

縮み、しわになりやすい性質がありますが、干すときに着物ハンガーにかけて縦に伸ばし、横も布目を整えるようにしわを伸ばして乾かすと着物の重みで残りのしわもおおむね伸びていきます。

デニムなど、色落ちしやすいものは単体で洗うのが良いでしょう。

木綿着物を楽しみませんか?

今回は木綿着物の種類や特徴、魅力についてお伝えしました。

普段着として昔から愛され続けている木綿着物。

普段着だからこそ、各地方に様々な種類があり、それぞれの魅力があります。

より自由にコーディネートが楽しめて、お家でガラガラと洗濯機で回せる気軽さも、木綿着物の魅力の一つですよね。

(もちろん、楽チン度ではポリエステルなど化繊=化学繊維着物に勝るものはありませんが、化繊の感触が苦手な方、伝統ある着物を楽しみたい方などには木綿着物がオススメです)

お出かけのおしゃれ着物として挑戦しやすい木綿着物、ぜひ皆さまもお試しくださいませ。

CONTACT

TEL0859-39-1234

10:00-19:00/水曜日

written by ISHIKURA

歴史学科卒業後、地元の歴史ある企業・きもの永見で呉服の世界へ。 日々着物のことを学びながら皆様の「分からない」にお答えしていきます。

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