着物を着るときには、肌着(肌襦袢)を着用します。
素材や色・形によって季節に適した肌着を選び、正しいお手入れ方法を実践することで、長く美しい状態を保つことができます。
着物の魅力を最大限に引き出すために、着物の肌着について正しく理解し、活用することが大切です。
今回は、着物の肌着(肌襦袢)について、選び方やお手入れ方法を解説していきます。
目次
間違いやすい【肌襦袢】【長襦袢】【衿付き肌襦袢】の違い
着物初心者様には肌襦袢と長襦袢は混同されがちです。
どちらにも『襦袢』が付くので言葉では間違いやすいアイテムです。
【肌襦袢】とは
肌着と呼ばれるように素肌に直接着るインナーです。
衿は付いていません。
裾除けと合わせて着る二部式の上半身に着用するものです。
▲写真は紐付きですが、紐なしのタイプが多いです
【長襦袢】とは
肌着と着物の間に着ます。5~6cmの幅の衿があり、半衿を掛けます。
着物を着たときに半衿が見えるように着用します。
洋服のスーツに例えるとブラウスのようなアイテムです。
▲首元に衿があります
【衿付き肌襦袢】とは
「衿付き肌着」とも呼ばれ、長襦袢を省略して着るアイテムで、肌襦袢に長襦袢と同じ形の衿が付いたものです。
通常、肌着→長襦袢と重ね着しますが、衿付き肌着一枚で長襦袢を省略することが出来ます。
暑い時期の涼しく着る工夫や、着物の袖丈・肩裄に合う長襦袢が無いときなどに着用します。
▲形は肌襦袢ですが、長襦袢のように衿があります
そもそも着物の肌着って何?
着物の肌着とは、着物を着る際に肌に直接着用するインナーのことを指します。
洋服でいうキャミソールやタンクトップなどを指します。着物の肌着は、下着と同じように肌に密着し、汗や汚れを吸収することで、着物や着る人を清潔に保ちます。
裾除けやステテコと合わせて着る『二部式』と上下が繋がっている『ワンピースタイプ』があります。
着物を着る上での肌着の必要性
着物の肌着は、着物を着る上で必ず必要なものです。
長襦袢と肌との間に肌着を着用することで、汗や汚れを吸収することができます。
また、長襦袢と肌との間に肌着を着用することで、肌の保護や清潔を保ち、着物を長く、さらに綺麗に着ることが可能です。
着物を着る上での肌着のデメリット
肌着を着用することによって、着物の中に熱がこもりやすくなる、着用感が悪くなるなど、デメリットを感じられることもあります。
これらの不快な着用感は肌着の種類の選択ミスによることが大きいです。
素材や種類により、通気性が良く着心地がよいものが様々あるので、肌着を選ぶ際には着用する季節や自分にあった素材を選ぶことが重要になってきます。
肌着の種類と特徴
着物に適した肌着の種類
着物に適した肌着は、素材によって大きく分れます。
代表的なものとしては、綿・麻・キュプラなどの植物性繊維、絹や合成繊維(暖か素材・涼しい素材)などがあります。
綿や麻、セオアルファ(接触冷感素材)の肌着は通気性が良く、夏場には涼しく着ることができます。
また、汗を吸収する効果があるので、夏でもさらりと着ることができます。
絹の肌着は肌に優しく、肌触りがよく、冬場には暖かく着ることができます。
ポリエステルは『通気性が悪く、また汗も吸収しにくい』と昔は言われていましたが、現代では開発が進み【暖かい】【涼しい】など着心地のよさや通気性にも特化した素材がたくさんあります。
綿素材
綿素材の肌着は、通気性が良く汗を吸収するため、オールシーズンおすすめです。
夏場には楊柳織や縮織など、冬にはガーゼやさらしなどがあります。選ぶ際は、肌に直接触れる部分が綿100%のものを選ぶとよいでしょう。
絹素材
絹素材の肌着は、肌に優しく保湿力が高いため、冬場におすすめです。
選ぶ際は、肌に直接触れる部分が絹100%のものを選ぶとよいでしょう。
合成素材
合成素材の肌着は、【暖か】【涼しい】のどちらもあります。
着用時期に合わせて選びます。
ソフトな着心地が特徴で、速乾性に優れるため、手軽に洗濯できる点がメリットです。
サイズの選び方と着用方法
肌着のサイズ選びのポイント
肌着のサイズは、洋服のようにM・L・LLなどの表記がされています。
また、ワンピースタイプは着丈にも気を付けます。
小柄でふくよかな方は身幅から大きいサイズを選びますが、同時に着丈も長くなるので着物の裾から覗くような長さの場合は調整が必要になります。
また、衿ぐり(衣紋)が大きく開いたものを選びましょう。
肌着の着用方法と注意点
肌着は、着物の内側に着用します。
着物からはみ出さないように着ます。
着用する前には必ず洗濯をし、清潔な状態で着用しましょう。
また、着物と同じように正しく着用することで、快適な着心地を実現できます。
肌着の色の選び方と着物との相性
肌着の色選びのポイント
肌着の色は、白い肌着が一番多く流通しています。
基本的には白い肌着で問題ありません。
また、夏の透ける着物を着るときには注意が必要です。
着物の色や素材に合わせて選ぶことが大切です。
白は無難な選択肢となります。
また、表地の色が白地や薄色の浴衣など下着が透けてしまう場合は、ベージュやダークな色目など表地に透けて見えない配慮をすることで美しい印象を与えます。
着物の肌着のお手入れ方法
洗濯方法
肌着は洗濯絵表示を確認します。
手洗いの場合は水温は30度以下に保ち、中性洗剤を加え、弱い力でやさしく洗濯してください。
洗濯後は、軽く水気を絞り、形を整えて干してください。
洗濯機で洗う場合は、洗濯ネットに入れて洗濯されると傷みにくいです。
また、肌着が縮んでしまったり、しわができてしまうことを防ぐために、洗濯機の乾燥機能は使用しないようにしましょう。
乾燥方法
肌着は、風通しの良い場所で自然乾燥させるのがおすすめです。
乾燥する前に形を整え、たるまないようにするとよいでしょう。
アイロンのかけ方
肌着にアイロンをかける際は、必ず素材に適した温度で行いましょう。
直接アイロンをかけるのではなく、あて布の上からアイロンをかけたり裏からアイロンをかけるなど素材を保護するための工夫をすると美しい仕上がりになります。
また、ソフトな着心地がお好みの方にはアイロンは不要です。
よくある質問
“Q1. 着物を着る際に肌着を着用する必要性はあるのでしょうか?
A1. 着物を着用する際には、必ず肌着を着用することがおすすめです。
肌着は、心地よく着物を着るために不可欠なアイテムであり、さまざまな効果をもたらします。
着る度に毎回洗うことのできない正絹の長襦袢が直接汚れることを防ぐためにも最適です。
Q2. 肌着のお手入れ方法は、どのようにすれば良いですか?
A2. 肌着のお手入れ方法は、素材に合わせた方法を選ぶことが大切です。
手洗いや洗濯機、乾燥方法などを正しく行い、アイロンの際には素材を保護するための工夫が必要です。
Q3. 着物の肌着は、どのような種類がありますか?
A3. 着物の肌着には、綿素材、絹素材、合成素材【暖か】【涼しい】などがあります。
素材によって異なる特徴や適した季節がありますので、選び方には注意が必要です。
また、肌着の色や形にも注意して選ぶことが大切です。形には二部式の上下に分かれたものとワンピースタイプがあります。
どちらを選ばれるにしても衿ぐり(衣紋)が大きく開いたものを選びましょう。
まとめ
今回は着物の肌着について説明しました。
着物を着るときには皮脂や汗などの汚れから着物を守るためにも、必ず肌着を着用しましょう。
肌着を着用する際には季節に適した素材を選び、着心地やサイズにも注意して購入するとよいでしょう。
肌着をお手入れする際には洗い方や乾燥方法など、素材を保護するための工夫が必要です。
着物の肌着は、着物姿を美しく見せるために必要なアイテムです。
選び方やお手入れ方法には、それぞれの素材に優れたポイントがありますので、これらをしっかりと押さえて、着物姿を楽しんでください。
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