着物の保管方法や収納についてのお悩みは多いです。
洋服とちがい、デリケートな「着物の保管や保存方法」は難しく感じますよね。
などでお悩みの方へ、大切な着物や浴衣をきれいにキープするための保管・収納方法を3ステップでわかりやすく解説します!
◉大切な着物を長持ちさせるためのポイント
◉便利な収納アイテム
◉防虫剤・調湿剤のおすすめ
も紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
【基本】着物の保管・収納方法3ステップ
着物の保管方法について、3ステップで簡単にわかりやすく説明します。
ステップ1:着物をきれいにたたむ
まずは、保管する着物をきれいにたたみます。
ポイントは、正しい手順できれいにたたむこと。
間違ったたたみ方で保管していると、着たときに目立つ部分にシワができる可能性があります。
保管中にできた深いシワはとりにくいので、注意が必要です。
きれいな状態のままキープすることで、着物を開いてシワを気にせずすぐに着られるので、ひと手間削減になります。
▼着物のたたみ方についてはこちら
ステップ2:たたんだ着物をたとう紙に入れる
着物をたたんだら、きれいな状態をキープしたまま「たとう紙」に入れましょう。
たとう紙とは、着物を収納するための専用の包み紙のこと。
着物を保管するときは、和服用のたとう紙に包んで収納するのが基本です。
着物を一枚ずつたとう紙に入れて保管することで、ホコリによる汚れやカビを防ぎ、シワもつきにくいメリットがあります。
着物のきれいを長持ちさせるためには、専用のたとう紙に着物を入れてから収納するのがおすすめです。
▼たとう紙についてくわしく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ステップ3:たとう紙ごとタンスに入れて保管
着物を包んだら、たとう紙ごとタンスなどに収納して保管しましょう。
たとう紙にいれた着物は、何枚か重ねて収納してOKです。
タンスに入れるときはなるべく平らな状態をキープしたまま入れることで、たとう紙の中で着物がよれてシワになるトラブルを防ぐことができます。
着物の収納場所は桐の和ダンスがおすすめですが、手持ちのアイテムで代用も可能です。
おすすめの収納場所&収納グッズは、次の項目でくわしく紹介します。
着物の収納や保管にはタンス・ケースどれがおすすめ?
着物を購入したら、保管方法や収納場所に関する悩みはつきものです。
現代の住まいはクローゼットが多く、タンスがない方もいるので、さまざまな収納方法を柔軟に活用しましょう。
着物の保管に最適な収納場所&代用できる収納グッズを5点紹介します。
①桐の和ダンス
桐は湿度を調整する作用があるため、湿気によるカビから着物を守ってくれます。
さらに和ダンスは着物の収納を前提としたサイズで作られており、たとう紙に入れた着物を平らな状態できれいに収納することができます。
以前のセオリーでは、タンスは下の段に湿度がたまりやすいので、上質な着物を上に、普段づかいの着物や浴衣などを下にしまうのが定石でした。
ただ、現代では着物に対するスタンスが以前とは変わってきました。
それにあわせて、たとえば自身が特に大切にしたいものなどを優先しても問題ありません。
②洋ダンス
保管する着物は、日常的に使用している「洋ダンス」にも収納できます。
洋ダンスに着物を入れるときは、サイズに気をつけて収納するのがポイント。
洋ダンスは和ダンスとちがって着物をしまう幅で作られていません。
変な位置にシワが残らないようたたみ方に気をつける必要があります。
あらかじめタンスの幅に合わせたサイズで着物をたたみましょう。
洋ダンスに着物を収納する際も、上の段に着物を収納することで湿気の影響を最小限におさえることが大切です。
③プラスチックの保管ケース
「プラスチックの保管ケース」で着物を保管する方法もあります。
洋服や下着などの保管に便利なプラスチックケースですが、湿気がこもりやすいので着物を収納する際は注意が必要です。
密閉性が低くホコリもたまりやすいので、換気もかねて定期的に中身を出し、ケースの底を掃除するのがよいでしょう。
アパートなどでタンスを置く場所がない方には便利な収納アイテムなので、住宅事情や使い勝手によって気をつけながらお使いいただけます。
④紙の箱
呉服店などで着物を購入した際の「紙の箱」で保管するケースもあります。
着物を購入すると、紙でできた化粧箱に着物一式を入れて納品されることがあります。
そのまま紙の箱に着物を入れっぱなしで保管する方がいますが、紙は湿気を吸いやすいため、長期間の保存には向きません。
紙の箱も短期間の保存や、移動の際には便利なものです。
可能なら箱も保管しつつ、着物は早めにタンスなどに入れ替えるとより安心です。
⑤きものハンガー
浴衣などの普段着の着物を「きものハンガー」で保管することもあります。
現代では収納にクローゼットを使用する方が多いため、きものハンガーに着物をかけて保管したい方もいるかもしれません。
ただし、長期間ハンガーにかけっぱなしにすると着物のシワや傷み、たるみの原因になるのでおすすめしません。
汗を飛ばす間の短期間なら着物ハンガーにかけておいて問題ないので、その後はきれいにたたんでタンスなどに保管することをおすすめします。
⑥不織布のきもの収納ケース
最近は「不織布のきもの収納ケース」も出回っています。
着物専用の保管袋と聞くと安心なように思いますが、不織布は経年劣化が起こりやすい素材。
使用するにつれて表面に摩擦が起きてすり減り、破れることがあるので長期間の保管は要注意です。
短期間なら問題ありませんが、長期間保管する際はケース自体の定期的な交換や、タンス等に移動させるなどの対策を考えましょう。
きものをきれいに長持ちさせる保管のポイント
着物をきれいに長持ちさせるためには、保管の際に意識したいポイントがあります。
着物の保管に最適な環境をととのえることで、大切な着物をきれいな状態のまま長く着ることができます。
ポイント①たとう紙の定期的な交換
着物を入れた「たとう紙」は定期的に交換しましょう。
たとう紙の素材は「紙」なので、永久的に使えるわけではありません。
何年も使いつづけて湿気をたっぷり吸ったたとう紙は、茶色く変色したり、斑点のようなシミが出たり、カビが生えることもあります。
さらには、たとう紙のシミやカビが着物に移るケースも少なくありません。
ときどき家のタンスを開けて、たとう紙の状態をチェックしましょう。
たとう紙の交換時期は1~2年と言われているので、取り替えた時期を覚えておいて定期的に交換するのがおすすめです。
ポイント②虫干し
保管している着物は、定期的に虫干しできるとベストです。
虫干しとは、着物を広げて風を通し、湿気をはらうための作法です。
着物にとっての一番の天敵は「湿気」です。
晴れの日がつづく時期にきものハンガーに着物をかけて陰干しをすることで、保管中にこもった湿気を飛ばしてカビなどを予防します。
虫干しに最適な時期とくわしい方法は、以下にまとめました。
ポイント③タンスやケースの換気
虫干しまでしなくても、着物を保管しているタンスやケースの換気を行うだけでも、ある程度湿気を逃がす効果があります。
定期的に虫干しができればよいですが、そこまで手がまわらない方も多いですよね。
晴れた日にタンスの引き出しを開けて、扇風機やサーキューレーターで風を通すだけでもこもった湿気を飛ばすことができます。
虫干しが難しい方は、タンスの換気をぜひやってみてくださいね。
ポイント④防虫剤・調湿剤
着物の保管にあたっては、防虫剤や調湿剤を使用するのもおすすめです。
「着物は虫に喰われる」というイメージをお持ちの方も多いですが、実は絹の着物には基本的にほとんど虫がつきません。
虫が好む汚れがあったり、ウールが近くにあると噛まれることもありますが、防虫に関してはそこまで神経質になる必要はないでしょう。
絹の着物の保管中は、虫よりも「カビ」が怖いんです!
日本は湿度が高いので、着物の天敵である湿気によるカビ対策が必須。
着物保管時は調湿や吸湿に優れるものを使って、収納場所の湿度調節をするのがおすすめです。
着物保管中の湿度調整におすすめの防虫剤兼調湿剤は、次の項目でくわしく紹介します。
おすすめ防虫・湿度調節剤&使うときの注意点
着物をきれいに保存するために、おすすめの「防虫剤・調湿剤」と「使用上の注意点」をチェックしましょう。
防虫・湿度調節は「備長炭シート」がおすすめ
着物保管中の防虫・調湿にもっともおすすめなのが「備長炭シート」です。
備長炭シートは、防カビ・防虫・消臭効果のある着物の保存にぴったりのアイテム。
タンス内の湿度を着物の保存に最適な50%~60%にキープしてくれます。
備長炭シートの効果
備長炭には湿度を一定に保つ働きがあります。
多湿の時期には湿気を吸い取り、乾燥した時期には吸った湿気を放出する調湿効果でカビの発生を抑えます。
一年中きものにとって最適な湿度をキープ。
■きものを清潔に保つ「防虫・抗菌作用」
備長炭の持つ調湿効果や参加還元作用(アルカリ化)により、湿度が多く酸化した場所を好んで繁殖するダニ・雑菌を寄せつけません。
■気になる匂いに「消臭効果」
汗や煙草・食事等で酸化した 嫌な匂いを備長炭の効果で取り除きます 。
■買い替えの必要ナシ「交換不要」
一度入れた備長炭シートは、干したり入れ替えたりせずにに使用いただけます。
取り替えいらずで保管の手間を軽減できます。
使い方は簡単で、着物の入ってるタンスや押し入れに入れるだけでOK。
薄いシートタイプでかさばりません。
取り替え不要で、買い替えの必要なく長く使用できるのもうれしいポイントです。
防虫・湿度調整剤を使うときの注意
備長炭シート以外に、スーパーや薬局などで販売されている防虫剤・除湿剤を使用する方もいるかと思います。
着物保管時に市販の防虫剤・除湿剤を使用するときは、以下の点に注意しましょう。
防虫剤・除湿剤を使用するときの注意点とは?
数種類の防虫剤を併用すると、化学反応を起こし、シミや変色の原因になる可能性があります。
一種類のみに絞って入れるようにしましょう。
■直接きものに防虫剤が触れないように
防虫剤によって着物が変色、シミができる場合があります。
直接着物や帯に触れないよう、たとう紙の外に設置しましょう。
■防虫剤・除湿剤は定期的な交換を
市販の防虫剤・除湿剤は約半年ほどで交換が必要です。(実際は製品の案内に従ってください)
とくに除湿剤は水分が溜まったまま放置すると、カビ発生の原因になります。
■防虫剤はきものに匂いがついてしまうことも…
防虫剤や樟脳(しょうのう)を長くタンスに入れていると、きものに匂いが移ってしまうことも。
せっかくの美しい着物姿が漂う匂いで残念な気持ちになってしまうのは避けたいところです。
風通しや交換を適切に行いましょう。
着物の保管に市販の防虫剤・除湿剤を使用するときは気をつけるべき点が色々とあります。
心配な方は着物の保存に最適な「備長炭シート」をぜひ試してみてください。
ポイントをおさえて大切なきものをきれいに保管
今回は着物の保管や収納方法について、保存のポイントやおすすめ収納ケース、人気の防虫剤・調湿剤や注意点などについて解説しました。
記事にあるポイントを意識することで、大切な着物をきれいな状態で長持ちさせることができます。
便利な収納グッズや防虫調湿アイテムを活用しながら、上手に着物を保管しましょう。
CONTACT
written by ISHIKURA
歴史学科卒業後、地元の歴史ある企業・きもの永見で呉服の世界へ。 日々着物のことを学びながら皆様の「分からない」にお答えしていきます。