「振袖」と聞くと、成人式で着る衣装、というイメージが強いですよね。
でも実はそれだけじゃないんです。
これから振袖の購入を考えている方、振袖がタンスの肥やしになっている方にオススメです!
目次
振袖は「成人式専用の衣装」じゃない!
現代での振袖のイメージは、はじめに言った通り「成人式で着る着物」というのが大きいと思います。
実は、そんなことはないんです!
振袖は 未婚女性の第一礼装 といわれる着物。
成人式(18歳もしくは20歳)でなくても、未婚のうちはフォーマルな席に着ていくことが出来るのです。
▼振袖にかかるお金について詳しくはこちら
せっかく気に入って作った振袖ですから、一度だけでなくもっとたくさん着たいですよね。
では具体的にどのような場に着られるのでしょうか。
次から挙げていきます。
1.卒業式
昨今、特に大学や短期大学、専門学校では卒業式に袴を穿く学生さんがほとんどかと思います。
その際の着物には、二尺袖(小振袖)と呼ばれる袖が短めの振袖を着ている方が多めに見て取れます。
ですが、ご成人のときの振袖を合わせて着るのももちろんバッチリ。
お持ちの振袖を使うならレンタルは袴のみでいいので費用面でも抑えられますし、二尺袖よりも振り(袖)が長いので見た目の華やかさもグッと増します。
▼袴と合わせる着物について詳しくはこちら
また、二年制の学校なら成人式と同じ年、四年制の学校なら成人式の2年後に卒業式がやってきます。
振袖を着る機会が成人式の次に卒業式、という方も多いと思いますので、袴を合わせてガラッと雰囲気の変わった着姿を見ると気分も上がりますよ♪
必ず「袴」じゃない?卒業式の衣装
それ以前では、明治から昭和初期の女学生が袴姿を制服としてきた文化がありましたが、戦後に廃れて以降、「はいからさんが通る」スタイルが流行するまでは”女子大生が袴を穿く”ことはほぼなかったんだそう。
現在でも「必ず袴」ではなく、洋装のワンピースやスーツ、袴なしの振袖姿でもOKとする学校が多いようです。
2.結婚式・披露宴
結婚式では参列者・新婦どちらの立場でも着られます。
中には、招かれた立場として振袖は華やかすぎないかな…?というご不安をお持ちの方もいらっしゃいます。
しかし冒頭でも言ったように振袖は「第一礼装」という最も格が高い着物になりますので、着られるなら(未婚のうちなら)振袖を着るのがオススメです。
格調の高さもさることながら、場が華やかになり主催に喜ばれることも多いですよ♪
もし、派手にし過ぎたくなければ、帯結びや髪型・髪飾りをシンプルにしたり、重衿・帯揚・帯締といった小物を見直すとよいでしょう。
同時に、振袖は新婦の立場で着られるのも大きなポイントです。
結婚すると未婚女性の礼装である振袖は卒業して、留袖や訪問着を着るようになります。
振袖を着られる最後の機会として、挙式やお色直しで着納めするのも素敵ですね。
3.パーティー・祝賀会・お呼ばれの席
パーティーや祝賀会などのお呼ばれのときも振袖はぴったりです。
特に、ホテルなどで行われるようなドレスコードが求められる会にはぜひ着ていただきたいです。
外国の方も出席されるパーティーであれば、「日本的なもの」が好きで着物に興味を持ってくれる方がいるかも知れません。
振袖や日本文化の話で話題ができ、お話に花が咲きますね!
振袖の由来は?
踊り子の着物と所作に憧れた当時の若い女性たちの間で流行ったんだそう。
長い袖を振る動作を良縁や厄除けに繋げ、袖を振って良い殿方との縁を呼び、袖を振って厄を外へと払いました。
現代の交際関係で言う「ふった」「ふられた」の語源とも言われています。
逆に、気軽でリラックスした雰囲気のパーティ等なら振袖は重たすぎるので、避けたほうが良いでしょう。
ご出席する会の雰囲気に合わせて、振袖を活用してくださいね♪
4.お見合い・結納
お見合いや結納をするにも、振袖はオススメ!
いわゆる「お見合い写真」のイメージといえば振袖姿の一枚写真を想像する方が多いように、お見合い結婚が主流だった時代でも振袖を着て臨むのが定番でした。
お見合いで振袖を着れば、華やかで若々しい印象を与えることができます。
「結納」とは
口上を述べたり、結納品・結納金などの受け渡しを行うことで両家の親睦を深め、婚姻をより確かなものにします。
近年は簡単な顔合わせや食事会で済ませる家族も多いですが、由緒のあるお家や、非接触的に行いたいお家では結納をする方も。
カジュアルな食事会なら振袖までかしこまった装いの必要はありません。
儀式の流れに則った結納をされるなら、両家ともご相談の上できちんとした礼装として振袖を着るのがおすすめ。
結納での着用は、成人式よりも髪型や髪飾り、帯結びをスッキリとした形にすると、より大人の女性の品がでますね♪
5.初詣
一年に一度の特別な日、初詣にも振袖は着ていただけます。
初詣なら、他の機会のように格式張ったこともないので、ある程度自由なコーディネートでも◎。
ご成人前の方なら成人式のリハーサル気分で、ご成人後の方ならより気軽に振袖を着られる機会として楽しめます♪
また、夏祭りに浴衣の方が多いように、初詣は着物を着ている方が多い日です。
振袖を着たいけど、人目を引きすぎるのは…という方でも挑戦しやすいのでは?
初詣に着物を着て、シャキッとした気持ちで新しい年を迎えてくださいね!
お仕立て直しで訪問着に
せっかく気に入って購入した振袖、すぐに着られなくなるのは寂しいですよね。
ご結婚後、または年齢を重ねてからも何度も着たい方は、振袖としてそのまま活用する以外に、お仕立て直して袖を短くしてしまう方法があります。
袖が短くなると着物の種類は 「振袖」 から 「訪問着」 に変わります。
訪問着はいつ着る着物なの?
訪問着は準礼装と呼ばれる振袖(未婚女性の第一礼装)や留袖(黒留袖は既婚女性の第一礼装)に次ぐ格がある着物です。
既婚・未婚や年齢を問わず着られて、例えばお子さんができたなら入学・卒業式やお宮参り、七五三(紐落とし)でも活躍します。
もちろん、フォーマルなパーティやお茶・お花などの習い事のときもOK!
「まだ未婚だけど、振袖のような派手な着物は抵抗があるな」という方にもオススメの着物です。
あえて振袖のまま保管もアリ!
結婚を機に袖を短くするのも良いですが、逆にあえてそのままとっておく方も多いです。
購入した振袖がパッとした華やかな色だったり、全体に柄があったりするような振袖は訪問着にはあまり向かないといえます。
袖にしっかりと柄がある振袖は、袖を短くすると途中で柄が切れてしまうことも。
また、自身が華やかに主役となることが多い振袖と比べ、主役を立てるコーディネートをすることが多いのが訪問着。
無理に訪問着に仕立て直してかえって着る機会が絞られてしまうよりも、振袖のまま活躍させてあげたほうが輝くデザインもあるでしょう。
自身の姉妹や親戚をはじめ、近年人気になっている「ママ振」として将来のために保管するのも一つの手です。
▼ママ振について詳しくはこちら
振袖を長く着られる保管法は?
振袖のいろいろな着用シーンを紹介してきましたが、いちばん大切なのは「きれいにとっておくこと」です。
着る機会がやってきた振袖をいざ開けてみたらシミ・カビが…となるのは避けたいですよね。
着たあとすぐのお手入れ
スーツやドレスも来たあとはクリーニングに出す方が多いと思います。
同じように 振袖を着たあとは一度クリーニングに出しましょう。
それだけでもその後の保管状態は大きく変わります。
クリーニングは専門店へ
着物のクリーニングには洋服とは違ったノウハウがあるので、専門知識を持った着物専門の職人さんに依頼することで、大切な着物を守ることに繋がります。
とはいっても、日々が忙しくてすぐにはクリーニングに出せないときもありますよね。
そこで、お店でクリーニングに出す前にまずお家で干して湿気を飛ばしておくようにすると◎です。
(色ヤケや布たるみに気をつけて。直射日光や一週間以上干しっぱなしにするのはNGです)
そして、クリーニングに出す前に気になる汚れがないか自己チェックしておくと、重点的に相談できますよ♪
▼振袖クリーニング詳しくはこちら
長い間しまっておくとき
振袖をクリーニング後、次の出番を待って数ヶ月、数年しまっておくこともあるかもしれません。
そんなときの保管のコツとして、まず1つ目に 正しく畳んでおく ことです。
「折り目正しい」という言葉の語源になったとも言われる着物のたたみは、間違えると変なシワが付いて次に着るときにもシワ取りが大変です。
2つ目に包み紙 「たとう紙」の交換 です。
普通は着物の大敵・湿気を吸ってくれるたとう紙ですが、吸いすぎるとキャパシティを超えて着物に湿気の影響が及ぶようになってしまいます。
梅雨明けなどに取り替えてあげると、梅雨で溜まった湿気も一緒に取り払えるのでオススメです。
▼たとう紙について詳しくはこちら
3つ目に 換気 です。
湿気は着物の最大の大敵。
シミ・カビ対策として虫干しやタンスの換気など、生活スタイルに合った換気法で湿気落としをしてあげると◎です。
▼たたみ方と管理の詳しくはこちら
実は振袖を着る機会は成人式だけでなく、チャンスを見れば様々。
その後も訪問着として仕立て直したり、振袖のまま別の方に受け継いだりと活かし方があります。
どちらにせよ、大切な着物ですからきれいに保管しておくと良いですね!
様々なチャンスに振袖を着ていただけたら、お手伝いした私たちきもの屋さんも嬉しいです♪
これから振袖の購入をお考えの方、振袖がタンスの肥やしになっている方はぜひ参考にしてくださいね。
CONTACT
written by ISHIKURA
歴史学科卒業後、地元の歴史ある企業・きもの永見で呉服の世界へ。 日々着物のことを学びながら皆様の「分からない」にお答えしていきます。