「呉服屋って実際には何を売っているのかわからない。」
「敷居が高くて入りづらい」
世の呉服屋のイメージとして、よく言われる言葉です。
では実際に呉服屋とは何を扱っているお店なのでしょうか。
また、普通の着物屋と何が違うのでしょうか。
今回は、今年で創業191年を迎える呉服屋・きもの永見が「呉服屋」とはどんなお店なのかお話していきます。
(大前提として、お店のかたちはお店それぞれなので、厳密にこう!ではないことを念頭に置いてくださいね)
呉服屋に相談してみたいけどなんだか行けないという人や、着物が気になっている人にオススメです。
目次
呉服屋とは?
「呉服屋」とは、和装に必要な生地や小物を扱う専門店のことを指します。
「呉服」という言葉は、中国の呉地方から伝わった絹織物を指す「呉」と、生地を意味する「服」という漢字から来ています。
「呉服屋」と「着物屋」違いはあるの?
現代ではほぼ同じ意味として呼ばれることが多いですが、詳しく言うと少し違いがあります。
一般的には、着物屋は、主に着物本体を販売するお店をいうことが多いようです。
着物は、デザインや色柄、素材によって価格が大きく異なるため、幅広いニーズに応えることができます。
また近年は着物レンタル、着付けサービスを主として扱うお店も増えており、そういった場合は分類としては着物屋もしくは着物レンタル店になります。
このように着物や、着物のレンタル・着付けサービスのみを提供する場合もあります。
一方、呉服屋は生地や小物も扱う専門店です。
着物そのものだけでなく、着物の生地となる反物や、帯、下駄、草履など、和装に関する様々な品を扱います。
また、レンタル・販売を主とする着物屋との大きな違いとして、着物クリーニングや仕立て、お直しなどを行っているお店が多いです。
呉服屋は、和服文化を継承することを目的とする側面も持ちます。
和装の歴史や伝統により精通したスタッフが働いていたり、そうした人の育成に力を入れていることが多いです。
「着物」と「呉服」は違うもの?
もともと「呉服」という言葉は、中国の「呉」から渡ってきた絹の「服(はとり)」(=布生地)のことを指していました。つまり元々の「呉服屋」は特に絹の生地を扱うお店を指していたのです。
呉服屋は江戸時代からでき始め、幕末には呉服町という場所もできました。
着物屋は着物の販売やレンタルを主とし、呉服屋は和装に関するもの全般を扱うことが多い、という違いがあります。
しかし近年は呉服屋の減少や、両方ともレンタルを扱うお店が多くなっていることなどから、呉服屋と着物屋の境界線はあいまいになってきています。
ですので、現代ではあまり無理に呼び分けることなく親しみやすい呼び方をするのが良いですね。
(きもの永見は呉服屋ですが、親しみを込めて「まちのきもの屋さん」と名のることもあります)
呉服店独自のサービス
では具体的に、呉服屋、着物屋ではどんなサービスをしているのでしょうか。
たとえば、私たち「きもの永見」のサービス内容を例にご紹介してみます。
着物専門の知識が必要な作業
きもの永見では、和服に必要な生地や小物を扱うだけでなく、仕立てやお直しなどの専門性が高い作業もお受けしています。
幅広いレンタルラインナップ
また、レンタルとしてポピュラーな振袖、袴だけでなく、訪問着・黒留袖やお宮詣着などレンタル専門店では取り扱いが少ない着物もレンタルは勿論、購入いただけるものも幅広く、豊富に揃えています。
和装以外のご相談も
現代の呉服屋は、和装だけでなく、洋服やアクセサリーをはじめ、着物や帯を加工・リメイクしたものなどを扱う場合もあります。
また、ネットショップも増え、地方に住んでいる人でも手軽に和装を購入できるようになりました。呉服屋は和装文化の保存と継承に貢献しており、日本の伝統文化を大切にする人々にとって、欠かせない存在となっています。
着物専門店ならではのメリット
直接商品を確認できる
ネット通販が普及している時代に、呉服店に足を運ぶ大きなメリットは、目で見て触れて、品質を確認できるという点です。
ネット上で購入した品物は現物を直に見る機会がないので、思っていたのと違う色だった、質感が薄かった、縫製がきちんとしていなかった、サイズが小さかった…等の失敗談をお客様からお聞きすることもあります。
呉服屋では、実際に手にとって生地の質感や柄、色合いを確認することができるのが大きなメリット。
専門の知識を持ったスタッフのアドバイスがもらえる
呉服屋のスタッフは、和服の歴史や伝統に詳しいだけでなく、着付けや和装小物の使い方にも熟練しています。そのため、自分に合った着こなしのアドバイスや、着付けの方法などを教えてもらえます。
特に、着物の色合わせは洋服のコーディネートとは違った知識が必要になります。
呉服店に相談いただければ、着物の専門知識に長けていて、カラーコーディネートの資格を持ったスタッフのアドバイスを受けながら、自分に合ったサイズ、カラーの生地や小物を選ぶことができます。
▲呉服店は着付けの技術のあるスタッフばかりなので、実際に着物の着付けをした上でお顔映りがよく、着物に合ったコーディネートを提案しますので安心して選んでいただけます。
着物のクリーニングや保管方法のおすすめも
呉服屋では、着物の販売のみに限らず、クリーニングなどのサービスを提供しています。また、クリーニングをした後の着物の保管についても、呉服屋で聞いてもらえたら防虫、防湿などに優れた商品の取り扱いであったり、適切な保管方法もご提案させて頂きます。
▼こちらの記事で、きものの保管方法や長持ちさせるための保管アイテムを解説しています。
NAGAMI WEB SHOP
着物を長く使いたい人は、一度呉服店に気になる着物を持参するのをおすすめします。
高品質で豊富な数のレンタル品
成人式や卒業式、結婚式などのイベントで、着物をお持ちでない方もレンタルすることができます。
着物のレンタルということであれば、レンタル専門店や写真館もありますが呉服店で着物をレンタルするメリットは何より「着物の品質が良い」という点。
レンタル衣装店の貸出衣装は、はじめからレンタルのために揃えた着物なのでポリエステルなど手軽に洗濯できる生地のものが多いです。そのため、どうしても正絹のような高品質の生地のものは取り扱いがないお店もあります。
呉服店は、もともと販売できる商品をレンタルにすることもあるため、正絹の生地や、裏地・仕立てがお買い上げ品と遜色のないレベルのものを数多く取り扱っております。
柄も日本古来の古典柄など、流行り廃りのない伝統的なものも多いです。ぱっと見て貸衣装かお買い上げ品か判断できないほど品質の良いものが多いので、本格的な着物で成人式、卒業式、結婚式などの式典に出席したい方におすすめです。
▼こちらの記事で、きもの永見のレンタルに関する情報をまとめています。
和装に関する情報が得られる
呉服店を運ぶことで、和装に関する情報を得ることができます。和服の歴史や文化、着こなしのコツだけでなく、店舗限定のイベントなど、知っておくと役立つ情報をスタッフから聞くことができます。
店舗限定のイベントは、着物に触れる機会が少ない方や着物をもっと着たい人向けに開催していることが多く、比較的安価な物や掘り出し物を多く展示しています。
店頭でのみお知らせしていることが多いので、呉服屋に行ってみるとそのような情報も得ることができます。
呉服屋に行ってみよう
現代の呉服屋は、着物から和小物まで揃い、また着物のレンタルやお手入れなども幅広くしているお店になっています。
従業員は和服の知識や伝統に詳しいだけでなく、着付けや和装小物などの使い方・コーディネートにも長けています。着物のお手入れや修理などもお願いできることも多く、着物を着る人は一度は足を運んでみるとよいでしょう。
鳥取県で着物のことなら「きもの永見」に
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written by TAKAHASHI
文化学部卒業後、和文化に興味を持ち地元の歴史ある企業・きもの永見で呉服の世界へ。 日々着物のことを学びながら皆様の「分からない」にお答えしていきます。