寒さが増す季節。
冷え込みが厳しくなるこの時期には、暖かみのある素材や、冬ならではの色柄が主役になります。
着物や帯、小物に季節を意識した色柄を取り入れることで、冬ならではの特別な着こなしが楽しめます。
もちろん、防寒対策も忘れずにしたいですよね。
寒さを凌ぎながらもおしゃれに着物を楽しむための着物選びやコーディネートのアイデアを紹介します。
目次
12月に適した着物の種類
寒さが本格化する時期には、冬ならではの着物選びが重要になります。
寒い中でも快適に過ごせる着物を選びましょう。
袷(あわせ)の着物
冬は基本、「袷(あわせ)」という裏地のついた仕立ての着物を着るのがおすすめ。
「袷」とは、裏地のついた着物のことを指し、着物の暦のうえでは10月から5月までの長期間にわたって着用できます。
裏地のない「単衣(ひとえ)」の着物とは保温性が違うので、寒さを感じる季節になってきたら基本的には袷を着るのがおすすめです。
ただ、単衣でも厚手の生地のタイプなら、中(襦袢・肌着等)と外(コート等)の防寒で着られるものもあります。
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厚み・温かみのある素材
寒い時期の着物は、縮緬や紬など、厚みと温かみのある素材が適しています。
シボのある縮緬地の着物は重厚感があり、冷たい外気を遮断して暖かさを保ってくれます。
ほかにも紬糸で織られる紬の着物も、温もりを感じる素材感で冬の時期とくにおすすめ。
真綿を用いて織られる本場結城紬などは、軽やかながらも優れた保温性で冬にぴったりの着物です。
冬に着る着物は、見た目も着心地も温かみのある素材を選ぶのがポイントです。
冬におすすめの着物の色柄
前提として、着物も衣服であり、洋服と同じように着たいものを着ていただくのが楽しみのコツです。
それでも「迷ってしまう」という方や「着物に季節感を取り入れたい」という方におすすめの色、柄を紹介します。
冬には落ち着いた色み、イベントになぞらえたカラーや、冬ならではのモチーフを使うと上手に季節感を取り入れることができます。
着物の色: グレー、黒、紫、えんじ、緑など
冬の着物選びは、落ち着いた色合いを意識すると季節感のある装いになりやすいです。
グレーや黒、紫はシックな印象で、洋服でも冬に選ぶことの多いカラーですよね。
クリスマスカラーのえんじや緑を着物の色で取り入れて季節のイベントに望むのも楽しいですよ。
逆に、雪景色を思わせるような透明感のある淡い色合いをスッキリ着るのもお洒落です。
取り入れる柄: 雪輪、星、更紗柄、季節のイベント柄など
着物や帯の柄には冬イメージさせる柄を取り入れることで、季節感のある装いが楽しめます。
雪の結晶を丸く形どった雪輪や冬の澄んだ夜にきれいに見える星柄は、冬に人気のモチーフです。
また更紗柄や唐草模様は異国情緒を漂わせるデザインで季節を問わずに使用できますが、冬も雰囲気によく合う柄といえます。
ツリーやサンタなどのクリスマス柄、干支や正月飾りのモチーフも、イベントならではのアクセントとして帯や帯留めなどに取り入れるとおしゃれです。
冬の着物、防寒対策は?
冬に着物を着る際は、防寒対策もしっかり意識しましょう。
基本の防寒法は洋服と同じ。
インナーやアウターで調節して温かく過ごしましょう!
アウターで防寒対策
和装コートは洋服と同じく、室内では脱ぐのがマナー。
防寒コートにはウールやフェイクファー、別珍などの厚みと温かみのある素材を選ぶと温かく過ごせます。
羽織も防寒で着るなら厚手の素材を選びましょう。
コートと違い室内でも着たままで過ごせるので、防寒の他にもコーディネートの一環として、また自身がない日の帯隠しにも便利です。
そのほか、さっと羽織れるケープやポンチョなども便利です。
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インナーで防寒対策
冬の着物のインナーには、発熱・保温機能のあるタイプを選ぶのがおすすめ。
洋装用の温かインナーは、そのまま着ると衿の後ろから見えてしまうかも知れません。
洋装用インナーを和装でも活用するなら、前後を逆に着用するなど工夫しましょう。
和装用の温かインナーなら着物に適したデザイン・機能性が備わっているため、そのままサッと着られて楽に過ごせます。
和装インナー|冬の必需品!七分袖あったかインナーシャツ【発熱・保温・静電気防止】
また、着物の時は足元がとくに冷えやすいので、足袋インナーや和装ストッキングで防寒するのがおすすめです。
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冬の着物に合わせる帯・長襦袢・小物の選び方
冬はどんな帯小物を選べばよいのでしょうか。
解説していきます。
帯の選び方
冬に結ぶ帯は、透け感のないしっかりとした厚みのあるものを選ぶのがポイントです。
落ち着きのある深い色合いの帯は、目で見ても温かさを感じられる印象になります。
クリスマスやお正月など季節のイベントの時は、イベントを意識した柄の帯を採用してイベントイメージコーデで楽しむのもアリです。
▼ステンドグラスの帯。クリスマスの時期にもおすすめです。
八寸名古屋帯 お仕立て済 西陣 三幸織物 ステンドグラス模様
冬の着物の下に着る長襦袢は?
一般的には袷の長襦袢を着用します。
長襦袢も着物と同じく、季節によって袷と単衣を使い分けます。
よく言われる着物のルールでは、袷の着物には裏地のついた袷の長襦袢を着るのが基本とされます。
ただし、気候が不安定な現代では、気温と体感温度に合わせて長襦袢を選んだほうが快適に着られます。
その日の気温に応じて、袷の着物に単衣の長襦袢を合わせて体温調節してもOK。
フォーマルな場以外では、着物も長襦袢も気候によって臨機応変に使い分けましょう。
季節を演出する小物選び
冬は季節感を演出する小物選びが魅力的なコーディネートのポイントになります。
たとえば雪の結晶など冬モチーフの帯留めであったり、赤や緑などのクリスマスカラーを帯締めや帯揚げに取り入れるとコーディネートのアクセントになります。
帯揚げ・帯締めだけでなく、ショールやマフラーなどの防寒具も色や柄にこだわればより冬コーデに磨きがかかりますね。
冬におすすめ!冬の着物コーディネート例
きもの永見がおすすめする冬におすすめの着物コーディネートを紹介します。
季節感を大切にした着物選びの参考にしてみてください。
冬にぴったり|透明感のある色無地
冬の澄んだ空気に合う、透き通るような色味の洗える袷の色無地です。
とくに薄グレーの色無地は、透明感のある雰囲気で冬のお出かけにぴったり。
柄のない色無地だけに、帯や小物で季節感やアクセントを加えるのも◎。
仕立て上がりの洗える着物なので、着物初心者の方にもおすすめです。
洗える色無地着物 袷|仕立て上がりのフリーサイズ着物|初めての一着に最適
イベント感のあるコーディネート|緑系の遠州木綿
深緑系の遠州木綿は、そのまま冬コーデにもさることながら、クリスマスのイメージコーデにもピッタリ。
木綿の着物は単衣でありながら、真夏以外は着用可能な便利さが魅力です。
クリスマスイメージコーデなら、帯や小物にクリスマスカラーを取り入れてさらにイベント感を出していきましょう。
遠州綿紬│お仕立て上がり 遠州木綿 │フリーサイズ 鶯色の無地
温もりのある素材|赤系の久留米絣
温もりを感じる厚めの生地が魅力の赤系の久留米絣です。
木綿着物の久留米絣は、単衣でも暖かく着られる地厚な素材です。
あえて冬に赤系の着物を選ぶことで、温かいイメージが湧くコーディネートにしてみても目に温かくて素敵です。
久留米絣│お仕立て上がり 洗える木綿きもの │フリーサイズ 赤と濃紺の万筋縞
冬の着物は防寒対策しつつ楽しむ
冬の着物コーディネートに悩む方は、防寒対策と季節感のあるおしゃれを両立させることで楽しさが倍増します。
裏地のしっかりした袷(あわせ)の着物で素材は暖かみのある縮緬や紬素材がおすすめ。
着物や帯の色柄や小物選びで季節感を取り入れるのがポイントです。
コートやインナーで防寒対策をしつつ、冬の街歩きを楽しんでみてくださいね!
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written by ISHIKURA
歴史学科卒業後、地元の歴史ある企業・きもの永見で呉服の世界へ。 日々着物のことを学びながら皆様の「分からない」にお答えしていきます。
この記事を監修した人 A.OTA
きもの永見「美装流着付け教室」講師。 「着物でお出かけしてみたい」そんなあなたのお手伝いを致します。 着付け教室HP https://kimono-nagami.com/school/