最近振袖を選ぶときによく聞くようになった 「ママ振」 。
ママ振とはどんな振袖なのでしょうか?
また、ママ振の特徴と気をつけることは?
今回はママ振の特徴をご説明するとともに、ママ振を活用する際のチェックポイントも一緒に解説していきます!
こんな方におすすめ!目次
ママ振とは?
ママ振(ままふり)とはお母さんが成人式の時に着た振袖をお嬢様が成人式で着ることです。
近年増えてきているママ振ですが、なぜここまで注目されているのでしょうか?
一つには、ローコストのイメージがあります。
一般的に振袖をレンタル/購入するとけっこうお金がかかる、というイメージをお持ちな方は多いと思います。
金額としては【レンタル20万円前後】【購入20~50万円】がおおむね平均。
ママ振を活用すれば、基本的なお道具は揃っているわけですから、リーズナブルに振袖を用意できる、という考えからママ振りを選ぶ方もおられます。
▼成人式に掛かる費用についてはこちら
さらに、オンリーワン思考というのも輪をかけて、ママ振を盛り上げています。
レンタルの場合、大きい成人式の会場では流行の柄など振袖がかぶってしまう可能性もあります。
「友達と振袖を被らせたくない」という思いから、ママ振を選ぶ人が増えているのが現在です。
ママ振の特徴は?
ママ振はざっくり、「お母様の振袖」とご説明しました。
ここからは具体的なママ振の特徴を挙げていきます。
コストが抑えられる
第一にママ振を利用することによって、コストを抑えられるということがあります。
前項でも少し触れましたが、多くの人がママ振を選ぶ一つの要因にもなっています。
振袖自体はお母さまの着られた物を着用するので、着物の準備を心配しなくてもいいのは良い点です。
さらに1980年代ごろはいわゆる「バブル時代」だったこともあり、高級な素材で作られた振袖も少なくありませんでした。
保存状態が良ければ、現代ではちょっと手の出せないような質の良い振袖を着ることができます。
成人式以外にも着られる
レンタルだと、機会があるごとに違う振袖を着られるというメリットがありますが、毎回選んでレンタルして…というのはなかなか手のかかるもの。
その点、ママ振の場合にはお持ちの着物になります。
成人式で着た以外にも、友人・親戚の結婚式、謝恩会、パーティ、結納、披露宴のお色直しなど、さまざまな場面で着用することができます。
友達と被りにくい
近年の振袖は廉価化が進み、モダンでオシャレな柄づけが多くなっています。
しかし中にはチープな見た目や質感のものがあったり、流行の色・柄は雰囲気や振袖自体が被りやすくなってしまうことがあります。
一方ママ振の場合には、着るのはお母様の振袖。
当時、ご家庭にもよりますが、50~100万円の予算で成人式の準備をする方も多かった時代でした。
なかには友禅など、伝統工芸品や有名な職人さんが作った振袖をお持ちのご家庭もあるかと思います。
今のモダンな振袖と一味違う着こなしもできるでしょう。
親子三代で思い出をシェアできる
お母さまの振袖を着ると、その振袖を一緒に選んだおじいさん、おばあさんも思い出を共有できるのがママ振の素敵なところ。
「お母さんのときはね…」なんて祖父母の方やお母様が嬉しそうに話される様子を、ママ振を着た方の場面で拝見したことがあります。
ママ振をする際に気をつけるポイント
ここからはママ振を活用するうえでのチェックポイントをまとめていきます。
着物のサイズをチェックする
「着物のサイズ?」とピンとこない方もいるかと思います。
洋服よりはゆるいですが、実は着物にもサイズがあります。
といっても、お母様のときの振袖のようなきちんとしたフォーマル着物の場合は、規格化されたサイズではなく、着る方を採寸してその方にピッタリになるようにお仕立てしていることが多いです。
ですので、お嬢様とお母様の体格差によってはサイズ難が出てきてしまうことがあります。
着物のサイズチェックで見る点は主に次の3点です。
◉背の高さ…身丈(みたけ)
◉肩から袖の長さ…肩裄(かたゆき)
◉胴回り…身幅(みはば)
お母様とお嬢様の体格が大きく違うときが2パターンあります。
1.お嬢様がお母様より小さいとき
2.お嬢様がお母様より大きいとき
1のパターンなら全く問題なく着ていただけるのですが、2のパターンですと程度によってはお直しが必要になる可能性があります。
CHECK! 振袖のサイズ直しとは?
その理由は、実は「その部分だけを直す」というわけにはいかないからなんです。
お直しをするには大きく
①着物をほどいて反物に戻す
②縫ってあったところの折り目や境目のヤケ等を直す
③サイズを直しつつ仕立て直す
という工程が必要になります。
また、折り込んであった布の分しか伸ばせないので、お嬢様ピッタリにはなりきらない可能性もあります。
※身幅を直す場合
こんな工程を経ていくので、お直しには「思ったよりも費用がかかる」のです。
だた、お嬢様のほうが大きい場合でも、着付けによって違和感なく着せられるときもあります。
振袖のサイズをチェックする一番簡単な方法は「着てみること」です。
「ママ振にしたいけど、お母さんと体形が違うから高くなっちゃうかな?」という方も、一度近くの呉服店で相談や着装をしてみると安心ですね。
長襦袢を確認する
振袖のサイズと合わせて確認しておきたいのが長襦袢の状態とサイズです。
CHECK! 長襦袢とは?
肌着(肌襦袢)とはまた別のものになるので、振袖を着る際は肌着と長襦袢の両方が必要です。
外からはあまり見えませんが、衿元と、振り(袖の内側の開いた部分)からチラッと見えます。
長襦袢はどれも見た目が似ていることが多いですが、振袖用の長襦袢は振袖と同じく袖が長いので、間違えないよう準備しておきましょう。
▼振袖用とその他着物用の長襦袢の違い
また、振袖は着付けをする際におはしょりを作るため、わざと腰の部分の布を余らせてあるので、ある程度の調節が効きます。
しかし長襦袢はおはしょりを作らずそのままの長さで着るので 長襦袢の丈と背の高さが直結 してきます。
画像でいうと、オレンジの矢印の長さがそのまま肩から足元までの長さになります。
お嬢様のほうが背が高い分には、ある程度長襦袢が短めでも、振袖を着てしまえば外からは見えないので問題ありません。
だたし、お嬢様のほうが背が低く、振袖のすそから長襦袢が出てしまうようなことになると、腰揚げの必要が出てきます。
腰揚げをほどけば元の長さに戻すこともできます。
シミや汚れに注意する
着物は、保存期間が長かったり保存状態が良くないと、どうしてもシミや汚れに繋がってしまいます。
必ず成人式の1年前くらいには振袖を開いてみて、シミなどが出ていないかチェックしましょう。
▼シミ抜き相談についてはこちら
着付けの際に隠れてしまう部分であれば、シミ抜きなどをしなくてもいい場合もあります。
状態によって成人式前にクリーニングに出すか、成人式後にクリーニングしてしまっておくかなど、考えるといいですね。
▼クリーニングについてはこちら
小物や着付け小物がそろっているか確認する
振袖を着る際には帯などの小物や腰ひもなどの着付けに使う小物が必要になります。
お持ちでなければ揃える必要があるので、確認しておきましょう。
▼振袖を着るのに必要なものはこちら
特にチェックしていただきたいのが 草履バッグ です。
お母様が持っていた草履バッグで、10年以上保存したまま…というの物も中にはおありだと思います。
そういった物はもしかしたら、花緒や台(足を乗せる部分)の表面が剥がれてきたり、台と底の部分が剥がれてしまったりと、経年による劣化が出ていることがあります。
もし草履に難があったときはお直しをしたり、劣化が激しければ新調したりといったことが必要になります。
私たち「きもの永見」では、年に何回か草履職人さんを招いてお直しや新調のご相談に乗っていますが、お住いの地域の呉服店がそういったサービスや催しをしているか調べてみるとよいでしょう。
また、道具が揃っていても、重衿や帯揚げ・帯締めなどの飾りは少し変えてあげると、振袖のイメージがガラッと変わります。
▼お母様が着ていたとき
▼お嬢様に再コーデ
今は飾りやカラーのバリエーションが大きく広がっているので、小物一つ変えてあげるだけでも雰囲気の違うコーディネートにすることができます。
ママ振を検討する際には、全てお母さまの使っていた小物ではなく、少し新調して、また変わった雰囲気を楽しむのも良いですね。
もしサイズ合わせなどで「呉服店に行ってみよう」とお考えなら、そのときに色々な再コーデをしてみてもいいかもしれないですよ♪
予算を決めておく
これまでの内容で、ママ振で成人式の準備をするのに金額がかかる可能性がある場面は
①クリーニング
②振袖や長襦袢のサイズ直し(必要なら)
③着付け道具を揃えるor不足品を足す
④コーディネートを見直す
というところになります。
それにプラスして、
⑤お写真を残しておくならその撮影料やお写真代など
⑥成人式当日のお支度料金
がかかってきます。
帯を変えたり、サイズなどのお直しをすると想定外のお値段になることもしばしば。
その際に大体の予算があると、必要なところにどういった配分で費用をかけるか、考えやすくなるでしょう。
「ママ」以外の振袖は?
世の中では若い世代を始めとして、「ママ振」という言葉が段々と認められてきています。
私たちきもの永見もそうですが、ママ振を応援する呉服屋さんも増えています。
そんな中で「ママ」以外の振袖を着る方も出てきています。
姉振(あねふり)
姉振(あねふり)とは、お姉様が成人のときにあつらえた振袖を、妹さんにも着せてあげることです。
この場合、比較的新しい振袖であることが多いので、小物もそのまま使ってあげやすいのが特徴です。
また、お姉様が着てからクリーニングに出していなかったり、きちんと畳まずに保管していた場合、大きなシワや汗シミなどがでていることがあります。
そういったことがないか前もって確認していただいたり、呉服店にご相談いただくと安心ですね。
親戚の振袖(いとこ、おばさんなど)
ご親戚から振袖を借りられるときに皆さまが悩まれるのが、「コーディネートを変えるか否か問題」です。
ご親戚の振袖の場合、成人式が終わると振袖はご親戚に返す方がほとんどです。
そうすると、小物だけ変えたとして、振袖を返した後のお家には変えた小物のみが残ってしまう、ということも…。
また、持ち主の方と着用するお嬢様に大きな体格差があると若干サイズ難が出てくる可能性もあります。
詳しくは上の「着物のサイズをチェックする」にてご紹介しています。
ご親戚の振袖を借りることを検討している方は、そういったところを事前にしっかりご相談しておくと、いざ借りたときにあたふたせずに準備できますね。
知人、先に成人式が終わった先輩などから借りた振袖
親戚以外の知人や友人、先輩から振袖を借りるときも、基本的にはご親戚の振袖を借りたときと同じ問題が浮かび上がります。
先輩などがお持ちの比較的新しい振袖であればコーディネートも今風であることも多いですので、振袖や小物の色・柄を見せてもらってから考えてみるのも一つの手段です。
返す前にクリーニングを!
姉振の場合は着物はお持ちのものですので、着た後はクリーニングをして保管しておくと良いでしょう。
クリーニングについては「成人式後の振袖クリーニング」の記事で詳しくまとめています。
▼着物の保管についてはこちら
ご親戚や知人などの振袖を借りた方は、先方との相談などでしないことになっている、などの事情がない限りは着用後はそのまま返すのではなく、クリーニングしてから返すことをオススメしています。
というのも、着物は洋服以上に管理が大切になる衣服です。
「振袖」という特に思い出の詰まった大切な着物を借りるなら、きれいな状態にしてお返しするのが最低限の心遣いといえます。▼借りた振袖のクリーニングについてはこちら
「きもの永見」のママ振プラン
山陰地区でママ振をご検討の方なら、きもの永見の「ママ振プラン」がオススメ。
お気軽にご利用いただける無料ママ振点検を実施しています!
点検項目は下の4つ。
☑汚れ無料点検
☑サイズ直し無料相談
☑着用小物無料点検
☑たとう紙無料交換
これまでご紹介してきたチェック項目をほとんどコンプリートできるんです。
もちろん、コーディネートの見直しもバッチリご相談に乗らせていただいております!
それにプラスしてお客様からご好評いただいているのが「たとう紙交換」。
たとう紙とは、着物を入れている専用の包み紙のことです。
たとう紙が古くなって紙自体にシミが出てしまうと、そのシミが着物に移ってしまうことがあります。
古くなっているたとう紙も、ご希望に応じて無料で点検・交換を承っています。
▼たとう紙について詳しくはこちら
また、きもの永見はお写真撮りまでトータルサポート!
直営の写真館「hows photostudio(ハウスフォトスタジオ)」で、一生の思い出に残るお写真を残していただけます。
大きな窓から暖かい光が差し込むスタジオでは、フラッシュは焚かずに全て自然光撮影。
ナチュラルでやわらかなお写真を完全予約制のプライベート空間でお撮りいただけます。
まるでカフェに遊びに来たかのようなオシャレなスタジオで、ご家族の思い出を残してみませんか?
▼きもの永見のママ振はこちら
▼hows photostudio HPはこちら
ママ振を着て、家族にとってさらに最高の思い出を!
着物・小物を自分で用意するので、準備は簡単!というイメージもあるママ振ですが、状態やサイズによっては時間や費用がかかってくる面もあることが分かりました。
しかしその分、ママ振はただお母様が着た振袖を着るというだけではなく、引き継がれた振袖の思い出をご家族で共有することができる他にはない振袖です。
事前にしっかりと準備を進めていけば、成人式がさらに思い出深いものになること間違いなしですね♪
きもの永見SNS
記事を見て頂きありがとうございます。
他にもきもの永見公式HPやきもの永見インスタグラム、公式ツイッターにも写真や情報を載せておりますので、こちらもチェックをお願いします。
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written by ISHIKURA
歴史学科卒業後、地元の歴史ある企業・きもの永見で呉服の世界へ。 日々着物のことを学びながら皆様の「分からない」にお答えしていきます。