夏の訪れとともに、お祭りや花火大会など、心躍るイベントも増えてきます。今年こそ浴衣でお出かけしたい!そう考えている方も多いのではないでしょうか。
でも、ちょっと待って!「浴衣の下には何も着ない」と思っていませんか?実は、美しい浴衣姿を叶え、一日中快適に過ごすためには、浴衣の下に「肌着(インナー)」を着用することがとっても大切なんです。
「どんな肌着を選べばいいの?」「普段の下着でも代用できる?」そんな疑問を感じているあなたのために、この記事では、浴衣の中に着る肌着(インナー)の選び方からおすすめアイテム、さらには代用品のポイントまで、詳しく解説していきます。冷房対策の豆知識もご紹介するので、ぜひ参考にして、自信を持って浴衣姿を楽しんでくださいね!
目次
浴衣の下に肌着(インナー)は必要?「着るべき」理由を徹底解説!
「浴衣って、昔は湯上りに着るものだったから、そのまま着てもいいんじゃない?」そう思う方もいるかもしれませんね。確かに浴衣は元々くつろぎ着でしたが、現代では夏のイベントに出かけるための「一張羅のワンピース」のような感覚で着られています。
普段、ワンピースを素肌に一枚で着ることはあまりないですよね?同じように、浴衣も適切な肌着を身につけることで、驚くほど快適に、そして美しく着こなせるようになるんです。
浴衣の下に肌着を着るべき3つの理由
- 下着の「透け」をしっかり防止!
夏の浴衣は、涼しさを重視して生地が薄く作られていることがほとんど。特に白や淡い色の浴衣は、中に何も着ないと下着が透けて見えてしまうことがあります。自分では気づきにくい後ろからの下着の透けは、意外と多いもの。肌着が一枚あるだけで、こうした心配が格段に減ります。 - 大切な浴衣を「汚れ」から守る!
汗をかく夏場、肌着なしで直接浴衣を着ると、汗や皮脂汚れが浴衣本体に直接付着してしまいます。その時は気づかなくても、時間が経つとシミとして浮き出てくることも。肌着は、浴衣を汗ジミや皮脂汚れから守る大切な役割も果たします。 - 通気性&吸汗性で「快適さ」アップ!
浴衣用の肌着は、夏の暑い日でも快適に過ごせるように、通気性や吸汗性に優れた素材で作られています。肌着が汗をしっかり吸い取ってくれるので、浴衣が肌に張り付く不快感を軽減し、サラリとした着心地を保ってくれますよ。
美しい浴衣姿と、心地よい着心地のためにも、浴衣を着る際は必ず肌着を着用しましょう。
浴衣を着る「3ステップ」!正しい順序で完璧な着付けを
それでは、具体的に浴衣を着る際の「下着」と「肌着」について、着付けの順序と合わせてご紹介します。
ステップ1:下着(ブラジャー・ショーツ)を身につける
まずは、普段と同じようにブラジャーとショーツを着用します。ただし、浴衣に合わせる下着にはいくつかポイントがありますよ。
- ブラジャーは「和装ブラ」か「ノンワイヤー」がおすすめ!
洋服では胸の形を美しく見せるブラジャーを選びますが、和装では胸元がなだらかで、平らな方が美しいとされています。ワイヤー入りのブラジャーや、胸を盛るタイプは浴衣には不向きです。 和装ブラジャーは、胸の膨らみを優しく抑えてくれるので、美しい寸胴シルエットを叶えてくれます。もし和装ブラが手元になければ、スポーツブラやノンワイヤーブラなど、胸がなだらかになるタイプを選びましょう。色は、白、ベージュ、グレージュなど、肌に近く透けにくい色が安心です。
- ショーツは「シームレス」タイプでラインを響かせない!
浴衣の薄い生地から下着のラインが浮き出てしまうと、せっかくの浴衣姿が台無しに。縫い目のないシームレスショーツなら、下着のラインが響かず、スッキリとした後ろ姿を演出できます。こちらもブラジャーと同じく、白やベージュ・グレージュなどの肌に近い色を選ぶと安心です。
ステップ2:肌着(浴衣用インナー)を着る
浴衣に適した下着を身につけたら、その上から浴衣用の肌着を着用します。
先ほどもお伝えしましたが、浴衣を素肌の上から直接着るのは避けましょう。肌着を着ずに浴衣を着てしまうと、ブラジャーやショーツが浴衣から透けて見えたり、汗ジミや皮脂汚れが浴衣に直接ついてしまったりするからです。肌着は、浴衣を汚れから守り、透けを防ぐマストアイテムだと覚えておきましょう。
浴衣におすすめの肌着は、この後詳しくご紹介しますね。
ステップ3:浴衣を着る
下着と肌着をきちんと身につけたら、いよいよ浴衣の着付けをして完成です!浴衣に適した下着と肌着を選ぶことで、見た目の美しさだけでなく、着心地も格段に快適になりますよ。
浴衣におすすめの肌着3選!プロが推す「ゆかた下」とは?
浴衣を着る際に最も適しているのは、やはり専用に作られた「和装用の肌着(ゆかた下)」です。和装用の肌着には、夏用と冬用があるので、浴衣を着る際は必ず夏物またはオールシーズンOKな肌着を選びましょう。
着物のプロがおすすめする浴衣用肌着を3つご紹介しますね。
1.1枚で完結!「ワンピースタイプの浴衣スリップ」
浴衣の肌着として、世代を問わず一番人気なのが、上下がつながったワンピースタイプの「浴衣スリップ」です。
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- 手軽さが魅力:1枚着るだけで上から下までカバーできるので、着付けの手間が省けてとっても楽ちん。
- 夏の快適素材:夏用の浴衣スリップは、裾さばきが良く、汗をかいても肌にまとわりつきにくい素材で作られているものがほとんど。これ一枚で下着の透けもしっかり防いでくれます。
2.調整自在!「肌襦袢+裾よけの二部式」
上半身の「肌襦袢(はだじゅばん)」と、下半身の「裾よけ(すそよけ)」が分かれた「二部式(にぶしき)」の肌着もあります。
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- 丈や身幅の調整がしやすい:セパレートタイプなので、身長や体型に合わせて丈の長さや身幅の広さを細かく調整できるのがメリットです。
- 涼しい夏物素材を:上下ともに、薄手の綿や麻など、涼しい夏物素材を選びましょう。
- セットで保管:上下どちらかをなくさないように、普段から2枚セットで保管しておくのがおすすめです。
3.足さばき抜群!「肌襦袢+ステテコ」
二部式肌着の下半身を「ステテコ」にする方法もあります。
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- 動きやすさ重視の方に:浴衣の下にステテコを履くと、足さばきがとても良く、歩きやすいのが魅力です。踊りをされる方や、汗や股ずれが気になる方には、裾よけよりもステテコがおすすめです。
- 透けやすい浴衣には注意:ただし、白地の浴衣や絽(ろ)や麻など、透けやすい素材の浴衣のときは、ステテコのラインが透けて見える可能性があるため不向きです。そのような場合は、ワンピースタイプの肌着か裾よけを着用しましょう。
- 動きやすさ重視の方に:浴衣の下にステテコを履くと、足さばきがとても良く、歩きやすいのが魅力です。踊りをされる方や、汗や股ずれが気になる方には、裾よけよりもステテコがおすすめです。
「浴衣用の肌着がない!」洋装インナーで代用できる?
もし浴衣用の肌着が手元になくても大丈夫!洋服用のインナーで代用することも可能です。ただし、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
洋装インナーで代用する時の3つのポイント
①上のインナーは「襟が大きく開いたもの」を選ぶ!
ノースリーブやタンクトップで代用する際は、前後の襟が大きく開いたデザインを選びましょう。特に背中の襟が詰まっていると、浴衣の襟元から肌着が見えてしまうので要注意です。
②下のインナーは「丈とデザイン」に注意!
ペチコートやペチパンツを代用する際は、浴衣から裾が見えない長さで、シームレスタイプや装飾が少ないアイテムを選びましょう。レースや段フリルなどがあると、浴衣に響いてしまう可能性があります。
③「素材」は静電気・汗の張り付きに注意!
洋装用のインナーは、素材によっては静電気が起きやすく、汗をかくと肌に張り付いたり、裾がまとわりつきやすかったりするものもあります。吸汗性や通気性に優れた素材を選ぶと、快適に過ごせますよ。
浴衣の肌着を洋装インナーで代用する場合は、デザインや素材感をよく確認して選ぶことが大切です。
意外と気になる?冷房での「寒さ対策」も忘れずに!
夏のイベントといえば屋外のイメージが強いですが、お店の中や電車、屋内の会場では冷房が効きすぎて寒く感じることもありますよね。せっかくの浴衣姿で体が冷えてしまってはもったいない!
浴衣の「冷房対策」3つのヒント
①肩まで生地がある肌着を選ぶ
キャミソールなどのノースリーブ肌着だと、肩回りが冷えやすい場合があります。特に冷え性の方は、肩まで生地がある浴衣スリップや肌襦袢、和装ブラジャーを選ぶと、肩の冷えを防ぐことができますよ。
②薄手のショールを持参する
バッグに薄手のショールを忍ばせておきましょう。冷房が効いた場所で肌寒いときに、サッと羽織れば暖かく過ごせます。見た目もおしゃれなので、コーディネートのワンポイントにもなりますね。
③「貼らないカイロ」を活用する
貼らないタイプのカイロを持ち歩き、冷えた手指や体の冷えが気になる部分を温めるのも効果的です。
事前にちょっとした防寒対策をしておくことで、安心して浴衣でのお出かけを心ゆくまで楽しめますよ。
浴衣に適した肌着を選んで、美しく快適な夏を!
今回は、浴衣の下に着る肌着(インナー)について詳しく解説しました。
浴衣を着る際は、専用の「ゆかた下」が最も適していますが、選び方に注意すれば洋装用のインナーでも代用は可能です。しかし、専用の肌着は、透け防止や汗対策、そして美しい着姿のために様々な工夫が凝らされています。もしお探しでしたら、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
浴衣に適した肌着を着用することで、見た目も美しく、そして何よりあなた自身が快適に、最高の夏の思い出を作れるはずです。
written by ISHIKURA
歴史学科卒業後、地元の歴史ある企業・きもの永見で呉服の世界へ。 日々着物のことを学びながら皆様の「分からない」にお答えしていきます。
この記事を監修した人 A.OTA
きもの永見「美装流着付け教室」講師。 「着物でお出かけしてみたい」そんなあなたのお手伝いを致します。 着付け教室HP https://kimono-nagami.com/school/




