卒業式の袴選びは、下に履く袴はもちろん、上に着用する着物選びも重要になってきます。
『卒業式で着る着物、せっかく成人式で購入したから振袖をぜひ合わせたい!』
『けれど、振袖に袴って合わせても大丈夫なの?』
そんなご質問をお客様からいただくことが多々あります。
成人式に着る着物と言えば振袖ですが、この振袖を卒業式の袴に合わせて着てもいいのでしょうか?また、家の着物を使いたいのだけれど、卒業式で合わせても大丈夫?
そういった疑問点について、今回は、袴に合わせる着物についてを詳しくご紹介します。
目次
卒業式で着る着物、決まりはありますか?
卒業式の袴スタイルで皆さん気にされているのが上に着る着物について。
一般的に袴に合わせる着物には、この着物でないといけない!という厳密な決まりはありません。では、実際のところどの着物を袴にあわせたら良いのかについては、それぞれお考えがあると思います。
袴に合わせる着物について、よくある疑問
・レンタル希望なのでお店にあるものを借りたい
・周りの同級生達が着ているような着物がいい
・成人式で振袖を購入しているから、振袖に袴を合わせたい
・成人式で振袖を着れなかったから、振袖を着てみたい
・家にある袖丈の短い着物、使えそうなら使いたい。
・小学生の子供に袴を着たいけれど、どんな着物を合わせたら良いかわからない。
そこで、袴姿として着るときに合わせる着物の種類について説明します。家の着物で袴を合わせることができるかどうか、などのご参考にどうぞ。
振袖+袴スタイル
振袖は袖丈が長いのでその分柄が見える面積が多く、華やかな印象になります。
また、振袖は未婚女性の第一礼装。卒業式という式典の場にはふさわしい装いですし、未婚のうちに振袖が着ることのできる機会があるなら是非着たい!ということでレンタルでも振袖+袴のコーディネートは人気のある組み合わせです。
お家の振袖に袴を合わせて卒業式に
特に、成人式用に振袖を購入された方などは、卒業式に袴を合わせることを考えて揃えられていらっしゃる場合もあります。また、お家にあるお母様の振袖も卒業式の衣装として着るチャンス。お家のお振袖で袴姿をお考えの場合は、ぜひ一度箪笥から出してみて袴コーディネートを考えてみましょう。
二尺袖+袴スタイル
二尺袖は振袖に対して袖丈がやや短い 約76cm=二尺 であることから二尺袖と呼ばれています。(また、「小振袖」と呼ばれることも)
その名の通り振袖よりも袖丈が短いので軽やかで可愛らしい印象になります。
近年、レンタル衣装で取り扱いをしている袴用の着物はこの二尺袖が主流です。
レンタル二尺袖は袴レンタルでお取り扱いの多い着物です。幅広い色柄から選べますので、こういう着こなしがしたい!というイメージがある方は、まず二尺袖+袴のレンタルから探すのを始めるとお好みのものが見つかりやすいでしょう。
一尺三寸袖の着物+袴
二尺袖よりも袖丈が更に短い一尺三寸袖の着物も、袴を合わせて卒業式スタイルで着用できます。
着物の袖丈の長さは一尺三寸(約49cm)のものが多く、ご家庭でお持ちの方も多いのではないでしょうか。
一尺三寸袖の着物でしたら訪問着・色無地・付下・江戸小紋・小紋など、様々な種類の着物があります。色や柄付けなどを見ながら、袴を合わせるのをおすすめします。
▲訪問着+紺色の無地の袴
訪問着は、未婚・既婚を問わず着用できる準礼装の着物ですので、フォーマルな装いが求められる場におすすめです。画像のように、品が良く主張しすぎないお柄・色合いの物が多いので、上品で落ち着いた雰囲気を好まれる方や、学校の先生の卒業式スタイルとしてもおすすめです。
卒業式には避けたほうが良い着物の種類
一尺三寸の袖のものでも卒業式で着れますが、紬や木綿、ウール、浴衣といったカジュアルな素材の着物に関しては要注意。
袴に合わせる着物は厳密な決まりは無いとは言え、卒業式はフォーマルな場です。洋服で例えるならこれらの着物で出席するということは、ジーパンにTシャツ姿で卒業式に出るようなもの。
時代を遡れば学生さんの日常着であった袴なので、卒業式といった式典でなければ普段着の着物で袴を着けても構いませんが、 卒業式というフォーマルな場では軽装にあたるような着物や、カジュアルすぎる素材は避けた方が良いでしょう。
小学生は二尺袖がオススメ
年々人気の高まる小学生卒業式での袴スタイル。ですが、着物を着慣れていない小学生ですと振袖のような袖の長い着物は重たいので動きにくいですし、身長によっては袖が床に付いて汚れてしまうリスクも。正絹の振袖ですとお手入れ代金もかかりますし、小学生が着るのには大変な場合が多いです。
そこで、小学校の卒業式に袴を着るなら二尺袖がオススメです。二尺袖は袖丈が短いため袖が邪魔になることもなく、小柄な方でも袖を引きずる心配はありません。
また、最近は袴レンタル専用のレンタル二尺袖の中には裾を短く切ってあるものもあります。
普通の着物の丈だと長い身丈を紐を使って上げないといけないですが、予め袴用に作った短い着物ですと歩きやすく軽いのが特徴。着物に慣れていない小学生のお子様も、軽くて動きやすい衣装となっています。
▼小学生袴の選ぶときのポイントやサイズについて、こちらの記事でも説明しています。
学校の先生が選ぶべき着物
凛として大人らしい教師の袴姿は、生徒や父兄にとっては大切な思い出に残る卒業式のワンシーンです。
学校の先生というお立場として卒業式に袴姿で参列する際は、主役はあくまで生徒で、ご自身はお子様を送り出してあげる立場というのを大前提に袴コーディネートをしていきます。
そのため、振袖や華美な二尺袖など学生さんの立場で選ぶような着物はNG。
▲学生さんのような、ご自身が主役の時のコーディネートを先生がされると主役の卒業生たちよりも派手になってしまいます。
TPOをわきまえない不適切な着こなしにならないように、節目の日にふさわしい格調高い訪問着や色無地のような着物と無地の袴姿で生徒の皆様を送り出してあげてください。衣装を決める際には事前に職場の先輩に相談するのもおすすめです。
▲桜色の色無地に紫の無地の袴スタイル。生徒を送り出す先生らしく、落ち着きつつも春先にピッタリの優しい色合いのコーディネートです。
こちらの記事で学校の先生の卒業式袴についてのマナーと着こなし方をより詳しくまとめてあります。
まとめ
卒業式に着る着物の種類や、オススメの着物などを説明していきました。
袴に合わせる着物には、この着物でないといけない!という厳密な決まりはありませんが、立場や年齢、体型などによってそれぞれに適した着物があります。
卒業式は大事な節目の式ですので、最低限のTPOにも気をつけつつ、まずはこんな着物と袴を着たい!というイメージを大事に、袴選びを楽しみましょう。
▼袴選びの流れについて
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written by TAKAHASHI
文化学部卒業後、和文化に興味を持ち地元の歴史ある企業・きもの永見で呉服の世界へ。 日々着物のことを学びながら皆様の「分からない」にお答えしていきます。