着物を借りた後のマナーは?返す前には必ずクリーニングを
成人式や結婚式のお呼ばれ、お子様の入学・卒業式など着物を着用するシーンがいくつかありますが、その際ご自身の和服をお持ちでない方はご親戚やご友人にお着物を借りられることもあるかと思います。
では、その着物はどのようにお返しするのが良いのでしょうか?
目次
着物を借りた後はクリーニングを
やはり、着物の貸し借りのマナーとしては、お返しする前にクリーニングをすることをおすすめします。
お着物は普通のお洋服以上に着用後の管理が重要になってきます。
さらに、式典などに出席する際に着用される着物は、礼装・準礼装と呼ばれる礼儀を尽くした装いです。
当然、持ち主の方にとっては思い入れのある大切な着物でしょう。
そんな大切な着物を貸してもらっているからには借りる前のきれいな状態でお返しするのが最低限の心遣い。
今後のお付き合いに支障をきたすことがないように、きちんとその後のお手入れのことまで考えてから借りられるのが良いでしょう。
クリーニングはどこですればいいの?
着物のクリーニングですが、呉服屋の悉皆(しっかい)と言われるきものクリーニングに出すのが一番安心かと思います。
着物に使われている素材の多くは正絹(しょうけん)という絹の素材です。
絹は水に濡れると縮んだり、風合いが変わってしまう性質があるとても繊細な生地です。
お家での洗濯はもちろん、洋服のクリーニングのお店でも取り扱いが難しいことから、 着物のクリーニングは呉服店などを通した専門家にお願いすることをオススメします。
こういったトラブルを避けるためにも、あらかじめ呉服店などに着物のクリーニングを扱っているかを確認してからお店に持って行くことをおすすめします。
きものクリーニング専門の悉皆(しっかい)屋って?
悉皆とは「全部」の意味です。着物にまつわる全ての事を請け負う仕事なので悉皆屋なのですね。
▼きもの永見では長年のお付き合いで信頼している、京都の悉皆屋さんにお願いしています。
▼こちらの記事で京都の悉皆屋さんのクリーニングやお見積りについて詳しく説明しています。
クリーニングを出す前に気をつけること
①着用前の汚れがないかを確認
人から借りたお着物をクリーニングに持ってこられる際、皆さん言われることが多いのが
「この汚れは自分が着た時に付いたものかもとからの汚れかどうかがわからない」
という事です。
借りた後の汚れについてはもちろんご負担すべきでしょう。
しかし、借りる前からの汚れに関しては持ち主の方にご相談されたほうが良いケースもあります。
そういった混乱を招かないようにするためにも、念のため着用前に汚れの有無を確認して、なおかつ写真を残しておかれるとご安心かと思います。
②クリーニングに出す前に汚れがないかを確認
クリーニングに出したら全ての汚れが落ちるのかといえば、そうでないときもあります。
汚れの内容に応じて、追加の作業が必要な場合もあります。
一般的に、着物のクリーニングでは「丸洗い」というドライクリーニングを行います。
◉丸洗い …着用時に付着した油性系の成分を落とす効果があり、すっきりとした仕上がりになります
しかし、食べこぼしや飲み物を落とした際の大きな汚れや水溶性の汚れ(汗染みなど)は丸洗いとは別に、しみ抜きや汗抜き加工等が必要になることも。
クリーニングに出す前と出した後できちんときれいになっているかを把握することが大切です。
目に見える汚れがある場合には事前に確認しておいて、お店の人に「ここに汚れがあります」と伝えた方が良いでしょう。
③着物のクリーニングには時間がかかることも
着物のお手入れは普通のお洋服のクリーニングとは違い1~2ヶ月ぐらいかかりますので、そのことに気をつけてクリーニングに出しましょう。
お店でクリーニングをしてもらうメリット
クリーニング後はきれいに畳んで返却されます
着物クリーニングをしておけば、殆どの場合お手入れ後はきれいにたたんでお客様に返されるというのがクリーニングのメリットの一つ。
特に、ご自身の着物を扱う機会のない方は、慣れない着物を畳む手間を考えると、クリーニングにまかせておくのが一番安心かと思います。
というのも、着物のたたみ方には手順があり、間違った畳み方だと、その部分がシワになって取れないこともあるのです。
ご自身のお着物をお持ちの方でしたら、虫干しなど今後の管理の事もあるので、たたみ方は覚えておくと良いでしょう。
ですが、家に着物を置いていない、という方はそう何度も畳む機会もないですし、その後のトラブルを回避するためにもプロに全て任せておくのが一番手間がかからず安心な手段です。
▼きものの詳しいたたみ方については、こちらの記事で解説しています
自分でアイロン掛けをしなくてもOK
また、着用後のシワもある程度クリーニングできれいにされている場合がほとんどです。
絹はデリケートな生地のため、アイロン掛けには慎重にならざるを得ません。
着物にアイロン掛けをして部分的な変色になったり、スチームアイロンで生地が縮んでしまった…という体験談もお客様からお聞きしたこともあります。
こういった理由からご自身で借り物のお着物にアイロンを当てるのはとてもリスクが高く、おすすめできません。
シワをきれいに治すのにこれらの心配事もないのが、プロのクリーニングのメリットですね。
まとめ
レンタル着物なら、借りた着物はそのまま返却しても大丈夫かも知れません。
でも好意でご自分のお着物を貸してくださった方にお返しする場合は、その後の信頼関係が壊れてしまうようなトラブルに発展しないように気を使う必要があります。
もし着物を借りる事があれば、持ち主さんの大事なお着物を貸していただいている、という意識を持って、その後のお手入れまで気を使うのが一般的なマナーかと思います。
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written by TAKAHASHI
文化学部卒業後、和文化に興味を持ち地元の歴史ある企業・きもの永見で呉服の世界へ。 日々着物のことを学びながら皆様の「分からない」にお答えしていきます。