きもの永見 着付け教室講師の太田です。たくさん歩きました~
着物を着て旅行をする
【着物を着て旅行をする】 私自身も、かつてはあこがれでした。今ほど日常で着物を着る機会がなかった頃は、「いつか着物でどこか行けたらな~」と、思っていました。
今でこそ着物で旅行の経験も増え、不安も不自由もあまり感じなくなりましたが、やはり初めての時は心配なことが山盛りありました。
『着物で旅行をしてみたい!』
同じ思いの皆さまに、太田講師自身の経験と着付け教室の生徒さま方の体験談など織り交ぜて、着物で旅行を楽しい思い出にする【ちょっとしたコツとポイント】をご紹介いたします。
着物初心者の方~着物経験者で考え方は随分変わりますが、参考にしていただければ幸いです。
目次
着物で旅行のパターンと注意点
【着物で旅行をする】と言っても、いろいろなケースがあります。皆さまがイメージしておられる『着物で旅行』のは、どのパターンなのでしょうか。大きく3つに分けました。
①旅行先でレンタル着物を着る
旅行そのものは洋服などの好きな服装で行かれることでしょう。あらかじめ着物をレンタルするお店をリサーチしてレンタルする際に必要なものがあるのか確認しておくとよいでしょう。観光地の着物レンタルのお店は手ぶらでOKのお店も多いようですね。レンタルの内容に足袋・肌着も着付けも含まれていることが多いようです。
ただし、私がお見掛けして「え?」と思ったことをご参考までに…。
2月初旬の寒い日にに仕事で京都へ行った時のことです。見るからにレンタル着物姿のお若い方が信号待ちをしておられましたが、着物に帯姿のみでコートもショールも防寒用のアイテムを何もつけておられませんでした。私は(洋服)冬物のコートに厚手のタイツでしっかり防寒してましたので、お見掛けしたお二人が気の毒になりました。寒い時期は自前でショールなど使えそうなアイテムを準備しておかれると安心ですね。
②洋服で行って目的地で着物に着替える
実は、一番荷物が増えて忘れ物が心配なケース です。
着物用の草履はもちろん、腰紐などの着付け小物や補整、着物用のバッグと洋服時のバッグを変える場合はバッグも荷物に入れなければ、なりません。忘れ物の無いように[持ち物リスト]を事前に用意しておくと安心ですね。
◆すべて自分の持ち物を着る場合
【自分で着物を着られる方】・・・どこで着替えができるか、姿見など全身が映る鏡があるか、など。
【着物を着せてもらわれる方】・・着付けの手配(美容院の予約など)、着付師さんに必要な持ち物を予め確認しておきます。
◆結婚式など式場でレンタルする場合
必ず事前にレンタル以外の必要なものを確認します。着付けを自分でされる方は『着付け場所』、着せてもらわれる方は『着付けをしてもらえる』ということを必ず確認しておきます。
※式場・美容室に着物などの着用品を送る場合は、送り状の備考欄などに【〇月〇日 ●●:●●予約の衣装】のように分かりやすく明記しておくことをお勧めします。また、配達遅延の可能性も考慮しギリギリにならないよう余裕をもって、受け取る方と打ち合わせをしっかりとして発送しましょう。今はインターネットで伝票番号から荷物の追跡が出来るので届いたことがわかり安心できますね。
③ずっと着物で行動する
家から着物を着て出かける前提になります。
[何泊するのか]・[旅行の目的が何か]、により荷物は変わりますが、日帰りなら『着物でお出かけ』の延長と考えればよろしいですね。
観光目的なら着物は生地かがしっかりしている紬類がお勧めです。他に目的に合わせて着物を選ぶことも旅行の楽しみの一つでしょう。何着か着物を持っていく場合はコーディネートの着回しなども考えましょう。
◇結婚式などに出席するための旅行・・・旅行先で結婚式などに出席する場合、出発当日なら着用予定の着物をそのまま着て行くのも良いでしょう。黒留袖などのフォーマル着物の時はコートを羽織ればよいですし、移動距離が長くなる場合は、車・JR・飛行機などの座っている時間を考えて到着してから着替えることを考えても良いです。
目的地で違う着物に着替える場合も洋服から着物に着替えることと比べると、着物から着物に着替える場合は着付け小物や草履など身に着けていたもので使えるものがあると忘れ物の心配がなくなりますし、荷物も減らすことが出来ます。
うっかり忘れたら大変なもの
●家から着物を着て出かける場合、着付け時に使用した「クリップ」「仮紐」など、着装完成時には取り外してしまうアイテムをそのまま忘れてしまう・・・。あるあるです。
●暑い頃、補整の洗い替えがなく翌日も汗まみれの補整を使用することになった・・・。
など、『どうしよう~』とならないため、ご参考にしてください。(生徒さま方から聞いた過去の例です)
持ち物リストを念入りに作成し、荷造りをすることが望ましいです。
あると便利なもの
・大判のハンカチや可愛い柄の手ぬぐいなど・・・『お食事用のナフキン』として使います。外出先で衿元や帯回りなど汚してしまうことのないように安全対策です。ただし、テーブルマナーとして相応しくない場合は、場の雰囲気を優先させましょう。
・洋服にも着物にも使えるバッグ・・・上記の②の場合でも別のバッグを用意しなくてすむので、荷物が減ります。バッグを選ぶ際に着物に使えるかを考えてみると良いかも。
・洋服・・・これは個人の判断によるものですが、朝食会場へ移動するときや宿泊先により必要と感じられれば準備しておきましょう。
・風呂敷・・・キャリーケースの中でアイテムを纏めることにも使えますし、お土産が増えて荷物がケースに入りきらなくなっても風呂敷が使えます。また、綺麗な色柄のものはストールやひざ掛けの代わりにも使えますね。
・携帯用畳紙・・・キャリーケースの中で着物が偏ってシワにならないようにする画期的なアイテムです。着物一式が包みながら畳まれていくような形です。
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・天気の心配アイテム・・・ パールトーン加工がしてある帯・着物は、少々の雨や雪でも撥水加工なので安心です。日中と朝夕の寒暖差が見込まれるときのアイテムとして、アームカバーとレッグウォーマー、ショールなど付け外しが可能なもので対応するとよいでしょう。暑がりの方は冬でも扇子があると安心です。
荷造りのコツ
先に携帯用たとう紙をご紹介しましたが、着物の荷造りで肝心なことは、【シワにならないように】です。キャスター付きのケースなど、下に重みにあるものを入れることも大切です。
着物をきちんと畳んだら、他の物を入れて動かないようにぎゅっと詰めます。洋服はぎゅうぎゅうに詰めてシワになることが心配になりますが、着物はきちんと畳んでぎゅうぎゅうにした方が安心です。これも着物で旅行することのメリットの一つだと思います。
確認しておきたいこと
着物を着る際に必要な鏡や姿見があるのかは確認しておきたいです。ホテル・旅館・個人宅など宿泊先により状況が変わりますが、ホテルの部屋でも全身が映る鏡がないこともあります。
[一泊旅行]~[中期・長期旅行]で荷物がどう変わるのかを考えると、旅先で洗濯が可能か・コーディネートの着回しがきくかなどが大きなポイントになります。着物で何泊もされるのは着物初心者さんにはお勧めしません。一、二泊の旅行に慣れてからの方が何かと臨機応変に対応できるようになられると思います。
飛行機の利用で気を付るポイント
今回の東京ツアーは、往きは6人帰りは7人の旅でした。飛行機の保安検査場は着物姿はボディーチェックが念入りです。袖の袂にも触れて確認されました。
特にヘアピンがボディスキャナーに反応してしまうのは良くあります。(うちの奥さんは毎度らしいです)
今回は、バッグの中を全部出して調べられた方がありまして…、お茶の師範をされている方でしたのでバッグの中に帛紗入れをお持ちでした。いつも持ち歩いておられますから当たりまえすぎて気が付かれなかったのですが、帛紗入れの中の菓子切りのようでした。とがった金属ですもんね。帰りの便では事前に申告されていたのでスムーズでしたよ。
飛行機は搭乗するまでに思わぬ時間を取られますので、ゆとりをもって保安検査場に進まれるとよいでしょう。
太田講師の着物で旅行あれこれ経験談
娘の結婚式
その1…洋服で前泊し当日ホテルの自室で着替える(親族の黒留袖2名・振袖1名にも着せる)
これは、旅行のパターン②になります。事前にチェックリストを用意して忘れ物がないように念入りに準備しました。
その2…朝一の飛行機で当日入り、会場近くで着替える(親族にも着物着せる)
結婚式が14:00からでしたので、当日朝の飛行機で行きました。社内からも友人からも無謀だと非難されながら、チケット取ったし…と当日入りしました。9月24日という、まだまだ暑い日でしたので道中は洗えて涼しいセオ・アルファの着物で行き、神社婚のため近くのレンタルルームを着替えのために借りて黒留袖に着替えました。鏡がないことは承知していましたが、実際あったほうが良いことを痛感しました。 黒留袖と袋帯の重量が2.6Kgありましたのでキャリーケースが重かったです。袷着物で問題なく過ごせる季節だったなら黒留袖を着てコートを羽織って行っていたと思います。
入学式・卒業式
娘の大学が東京でしたので入学式は訪問着を着て飛行機で行きました。都内は電車で移動してました。
卒業式は、洋服で行き娘の部屋で訪問着に着替え、娘には振袖に袴を着せました。この時も訪問着一式と振袖+袴一式を持っていきましたので二着分の重さがずっしりでした。
今までのツアーの思い出+失敗談など
はじめて着付け教室の生徒さま方と京都旅行に行った時のこと、ほぼ着物で旅行が初めてのメンバーでした。心配や不安もありましたが、なんのなんの皆さま最後まで楽しく過ごしておられました。
生徒さまから「着物での旅行は、足がむくんでも草履なので(靴の時のように)痛くならない! これから旅行は着物に限りますね!」と聞いたときは、とっても嬉しかったです。
失敗談としては、先にも触れましたが『忘れ物』です。宿泊した翌朝、着物に着替えているときに「先生!クリップ忘れました。」 「美装テープ(仮紐)忘れました。」など、着上がりに外すアイテムを忘れられる方が多く、後の教訓となりました。二回目以降はほとんどの皆さまが忘れ物などされなくなりましたよ。
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written by A.OTA
きもの永見「美装流着付け教室」講師。 「着物でお出かけしてみたい」そんなあなたのお手伝いを致します。 着付け教室HP https://kimono-nagami.com/school/