捨てる判断が早い人を尊敬しています。
ここ最近「SDGs」や「サスティナブル」という言葉を耳にする機会が増えました。
サスティナブルとは
「サスティナブル」英語で「sustainable」と表記されます。
「持続可能」という意味だとか。
第92回アカデミー賞に日本人の女優さんがが着物姿で出席されたことも、日本中がサスティナブルを認識するキッカケになったのではないかと思っています。(実は、私がその一人…。)
アカデミー賞での着物姿を国内外から高く評価されたことは記憶にしっかり残っています。
(とっても素敵な着物姿でしたが、写真を使うことは遠慮いたしました。)
このときのアカデミー賞参加者に対してのドレスコードは「サスティナビリティ」
確かに日本の着物は「持続可能」な衣服です。
着物は時代の変化にも負けず、江戸時代の頃から形を変えずに現在に続いています。まさにサスティナブルですね。
今や、SDGsやサスティナブルをあえて意識しないといけない時代になっていますが、もともと日本は日常的にサスティナブルな日々の暮らしを営んで来ました。
高度経済成長を経て、今では衛生観念の問題も含め、使い捨てが当たり前の世になりましたが、もともと日本人の江戸の暮らしでは人々がリユース・リサイクルに取り組む循環型社会でした。
着物ばかりではなく、紙も、下肥は肥やしとして、灰も買われて再利用されました。
そんな江戸時代のアパレル文化は、着物を作る反物は呉服屋で売られていましたが、反物から着物を誂えるのは上層階級の人々に限られていたそうで、もっぱら庶民は古着屋で着物を買っていたようです。(幕末にはそば屋の数よりも古着屋の方が多かったのだとか…)
ここで今一度サスティナブルな着物の良さとあり方を見直して見ましょう。
着物がサスティナブルに適している理由
持続可能である着物の特徴
②[袷][単衣]というように同じ素材を裏地の有無で季節に応じて着用できる(かつて冬には綿入れをして防寒していた)
③平面に仕立てられた着物を体に纏うので、少々の体型の変化や違いに対応出来る。
④女性の「おはしょり」は、少しの身長差は着装に影響しないことと、マタニティ期のお腹の変化に順応出来る。
⑤母から子へ、祖母から孫へと受け継ぐ文化
⑥着物として着られなくなってからも、形を変え利用する。
など、他にもありますが代表的なところを挙げてみました。
子供の成長期に順応
子供の着物の「揚げ」にも言えることですが、「揚げ」は子供の成長に合わせて着物の寸法を簡単に調節出来る仕組みです
大人サイズの着物をジュニアが着るときは、肩上げをして肩裄の長さを調節して着ることが出来ます。
男女兼用できる?
男性の着物と女性の着物を比較すると、おはしょりの有無や袖の振りの形状などの違いがありますが、解いて縫直しをすると男物・女物問わず仕立て替えが可能です。
上の表①にあるように、着物は、解いて洗って(洗い張り・解き洗いと言います)縫直すことができます。
縫い直す前にはバラバラになっている各パーツを縫い合わせて(端縫い・ハヌイ)反物の形に戻すのですが、これは着物の縫い代がすべて縫い込まれているから出来ることです。
弊社 永見社長も社長のおばあさんが着ていた総三浦絞りの浴衣を男物に仕立てかえて着ております。
着物はジェンダーフリーな衣服ですね。
形を変えて楽しむ
昭和40年代~50年代頃に一世を風靡し大流行していた『黒絵羽織』あります。
入学式・卒業式には欠かせない必須アイテムでしたが、時代の移り変わりとともに姿が消えて生きました。タンスの中にお持ちの方も多いことと思います。
お若い着物ファンの間では、黒絵羽織も注目されつつあるようですが、かつての大流行を知っている世代としては、なんだか時代遅れのイメージが拭い去れません…。
そんな黒絵羽織ですが、思い出があり手放せないという方は形を変えてみてはいかがでしょう?
この羽織を、名古屋帯に作り変えると
オシャレな帯に変身しました。
形を変えることで、思い出とともに身に纏えます。
着物のSDGs
着物として着古した後は、着物を解いて布団や座布団にしたり、お手玉やお人形さんの着物、最後はハギレになって「はたき」にしました。最後の最後まで使い切る工夫をしていたのですね。
大名家に所蔵されているの塗りのお椀やお膳など、一つ一つを丁寧に絹の端切れで包み収納されている様子を見せてもらったこともありました。
先人の知恵には今もなお見習うべき工夫があります。
まとめ
便利だけを追求した使い捨ての生活と、ほんの少し手を加えて天然の恵みを大切に使い切る暮らし。どちらが良いとか悪いとかではなく、自分にとっての良いところを取り入れて心に潤いのある毎日を送りたいですね。
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written by A.OTA
きもの永見「美装流着付け教室」講師。 「着物でお出かけしてみたい」そんなあなたのお手伝いを致します。 着付け教室HP https://kimono-nagami.com/school/