きもの永見の歴史 188年の歩み ~昭和末頃~
昨日何を食べたのか怪しくても、 昔のことは 結構はっきりとよみがえる、永見着付け教室の太田です。
昨年は、時勢の影響を受けて、4月・5月の催事をやむなくお休みにした、きもの永見です。
「普段やれないことを、この機会に」がまるで合言葉のようになってました。
弊社 永見社長も長年、資料として保管していた過去の催事記録の整理を始めました。
自らが企画した催事の数々をまとめる作業をしつつも、写真など面白いものが出てくると見入ってしまって手が止まるようでした。
そんな 過去何十年にも及ぶ資料の中から
「昭和の終わりごろの一年間がすごいのが出てきた!」と、社員の皆にも資料の数々を見せてもらいました。
テーブル一杯に広げられた当時のダイレクトメールたち。
一年間の催事の流れを一つ一つ懐かしみながら、説明してくださる社長。
時代もありますが、今からでは考えられない企画がいっぱいでした。
少しご紹介させてください。
当時、店舗は米子本通り商店街にあり、ほとんどの催事は大きな会場を借りて行う催事でした。
全国に先駆けた全品5万円の「呉満縁均一」
しゃれた字が当ててあると感心しました。
当時、全国的に見ても類を見ない企画だったそうです。永見を皮切りに他の地域にも広がっていたのだとか。
この時、特別限定ご招待の会を本会に先駆けて二日間しているのですが、初日はなんとナイター営業で夜9時までお客様が公衆電話でお知り合いを呼ばれる列が出来ていたとか…。
お得な情報を大切な人にも知らせてあげようと思われるお客様方で入り口が大混雑だったそうです。
ジュサブロー・キモノ 展
(写真はジュサブロー先生と永見の先代社長です。)
人形作家の辻村ジュサブロー氏が手掛けた作品を一堂に集めた展示会です。
この後、毎年必ず ジュサブロー展が開催されました。
今、人気の樹華屋(きはなや)さんのルーツの一つとなる作家さん。
ジュサブローの着物は何十年経ってもステキなデザインと色使いで、何世代にもわたりファンの心を掴んでいます。
かの有名デザイナー、ベルサーチがジュサブローの色遣いを見て影響を受けたのだとか(これ、ホントです。)。
なんとこの年、永見がジュサブロー展を開催することが縁になり、日本海新聞社が西部本社開設一周年記念として辻村ジュサブロー人形劇の公演を企画したのでした。
昼夜二回、公演で翌日の新聞には
「満員の観客 興奮のるつぼ」なる見出しで紙面を飾っていました。
もちろん新聞記事の切り抜きもスクラップされています。
足立美術館で紬の会
足立美術館といえば、アメリカの日本庭園専門誌の日本庭園ランキングで17年連続日本一に輝いたり、横山大観・北大路魯山人などをはじめ名だたる巨匠の作品を所有している美術館です。
その美術館の展示室でもある茶室を使わせて頂き、紬の会を開催しています。
紬の会開催中は、一般の方は茶室の入場をご遠慮いただき 永見のお客様方のみの貸し切り状態です。
このような美術品を展示するスペースを展示以外で使用することは、足立美術館、最初で最後になったそうです。
足立美術館創始者の足立全康氏と永見先代社長夫妻の間柄があったからこそ実現したのではないかと思います。
ベテラン社員の個展 三人展
今でも現役で活躍している松本さんをはじめとする、当時の永見を代表する3人がそれぞれ個展を開くという催事。
3週にわたり一人ずつ、松本さんの会なら「松本静子展」、内山さんの会には「内山里子展」というように担当員個人の名前の会を開催しました。
当時の様子を振り返る松本さんは「大変だったよ~」としみじみ。
主催となる本人も大変ですが、他会場を借りての催事ですので毎週 準備・片付けをする社員たちもまた 大変だったようです。
当時は畳も衣桁(いこう)・撞木(しゅもく)などもすべてレンタルで、会場に畳を搬入して敷き詰めることから準備は始まりました。
もちろん片付けも畳を全部あげるところまでやらなくてはいけません。
この大変さは 当時30代だった社長もしみじみ 時には熱くなりながら語ります。
振袖のご案内
年の初め頃、ご案内第一弾として
『春一番の花便り』として成人式が終わった頃に 次の年の振袖のご案内をするわけですが
春が待ち遠しい頃、お客様のお手元へ届けられた『春一番の花便り』を開いていただくと、その中から桜の花びらがひらりと落ちる案内状。
封入する桜の押し花は社員総出で制作したものでした。
桜色が色褪せないように大切に次の年に向けて心をこめて作りました(私も作ってたんですよ)。
この他にも折々に振袖のご案内をさせて頂いているのですが、その中には当時の振袖の人気ブランドがずらりと並べてあるDMもありました。
当時のブランド振袖を思い出すとともに、今 お母様の振袖を着用されるとお持ちになる振袖が、その当時のブランドだったりします。
成人式 永見振袖パーティー
当時、成人式会場だった米子市公会堂は、本通りにあるきもの永見まで歩ける距離でした。
そこで毎年、成人式が終わってからの永見振袖パーティーがありました。
永見のお客様だけでなく、お友だちも誘ってもらって成人式のお嬢様方はだれでも参加OKでした。
ドリンクと軽食をご用意して、お客様を待つのですが店内に皆様が集まりだすと、そこはまるで同窓会のようです。
楽しそうなお嬢様方のお顔を見ていると、冥利に尽きるという感じでしたね。
他にも まだまだあるのですが… ほんの少し、当時を懐かしんでみました。
毎年恒例で続いていた催事もあり、私含め当時を知る社員は懐かしさでいっぱい。
当時を知らない若手の社員も 永見の歴史を垣間見ることが出来ました。
社長の資料整理はまだまだ続いております。
「永見歴史資料館として残してください!」と社員たちはお願いしておりますが、つい懐かしい写真が出てきて手が止まるようです。
きもの永見SNS
CONTACT
written by A.OTA
きもの永見「美装流着付け教室」講師。 「着物でお出かけしてみたい」そんなあなたのお手伝いを致します。 着付け教室HP https://kimono-nagami.com/school/