作ってから25年程経ちますが 今でも好きな柄です。
例年、 6月や秋頃は婚礼のシーズンを迎えます。
結婚式に親族として列席する場合、 新郎新婦の母は黒留袖を着用します。
ここ山陰では、既婚の姉妹、伯母・叔母、そして祖母も黒留袖を着ることが多いです。(状況に応じて色留袖や訪問着にされても間違いではありません。)
今では、見ることも聞くことも少なくなりましたが、仲人婦人も黒留袖を着用します。
末広とは
末広 とは、主に黒留袖・色留袖を着用したときの必需品である扇子の一種です。
結婚式のようなお祝い事のときに、黒留袖(色留袖)の帯の左胸に挿しておく扇子のことです。
立礼で挨拶するときには、手に持ってご挨拶をします。
この末広という名前に馴染みがないかもしれません。「寿恵廣(すえひろ)」と書かれたり、「祝儀扇(しゅうぎせん)」という呼び名もあるそうです。
黒い塗りに金と銀の面で地紙が貼られています。(男性用は白の地紙に竹骨です)
塗りの部分に金彩で装飾された豪華なものも人気です。
おめでたい時にご使用されるときは、お好きなタイプをお選び下さい。
末広の用途
一言で表すと 挨拶の道具です。
茶道や日本舞踊などの日本の伝統を学ばれる方々は、 挨拶の際に扇子を使うということは、共通しているのではないでしょうか。
末広は扇子のようなものですが、扇子とは用途も異なり使用時には決まりが存在します。
黒留袖を着るときは大切なご親族の晴れ舞台ですね。
末広について使い方、注意点など心得てお使い下さい。
末広の挿し方
●自分の左胸に挿します
●要の方から挿します(丸みがあります)
●帯と帯揚の間に挿します
●末広を帯から2~3センチ出します
●金色の面を相手方に見えるようにします(諸説あり)
格好良く挿してしまえば安心。と思っても 実は
『挨拶の度に胸にある末広を手に持ち お辞儀をして 左胸に戻す』
の仕草を繰り返すことになります。
私個人の意見としては、真下に向かって挿すよりも少し脇に向かって斜めに指す方が楽に入るうえ、出っ張っている部分が引っかかりにくくなって楽なように感じます。
末広の持ち方
立礼での挨拶のときは写真のように持ちます。
集合写真など 新郎新婦の母や仲人婦人(今では少ないとは思いますが…)は前列で椅子に腰掛ける方も座ったまま 同じように持ちます。
正面から見ると
●右手で末広の要(根本)を持ちます
●左手で末広を受けるように添えます
●高さは おへその少し下くらい
そして、さり気なく構えたら お辞儀です。
凛とした雰囲気は必要ですが 手が緊張しすぎてカチコチにならないように。
自分目線で上から見てみるとこんな感じです。
座礼の時は、末広を自分の前に置いて手前に手をついて礼をします。
落語家さんもされていますね。
使い方はご理解いただけましたでしょうか。
自然と末広に手が伸びる様子は憧れます。
やってはいけない事
×あおぐことです。
末広は いわば身だしなみやマナーとして儀礼的に身に付けるものですので、暑いからといって決してあおいではいけません。
これだけは くれぐれもご注意ください。
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written by A.OTA
きもの永見「美装流着付け教室」講師。 「着物でお出かけしてみたい」そんなあなたのお手伝いを致します。 着付け教室HP https://kimono-nagami.com/school/